
大蘇ダム問題について住民に説明する郡司彰農水副大臣(手前)=11日午後、竹田市の荻公民館
ダム湖地盤から水が漏れ、事業計画が大幅に遅れている大蘇ダム(熊本県産山村)問題で、竹田市荻町などを訪れた郡司彰農林水産副大臣は11日、漏水対策として2010年度から3カ年でダムを補修する方針を示した。全額国費で、総事業費は約8億4千万円を見込む。また農業用水を供給する傍ら、ダム機能の検証に協力を求めたが、受益者はこれまでの国への不信感からあらためて拒否した。
荻公民館であった説明会には地元行政のほか、農家約170人が出席。農水省は今後、給水しながらダムの漏水対策を実施し、利水機能や地域の水需要などを調べる方針。郡司副大臣は「実際に給水して足りるか、足りないかを見たい。皆さんと話し合いながら進める」と理解を求めた。
農水省によると、水漏れが懸念される左岸の薄尾根部分(長さ約300メートル)や右岸の湧水(ゆうすい)部など、計3カ所ののり面(最大高低差約40メートル)にコンクリートを吹き付けるなどの対策を取る。昨年5~6月の調査で見つかった亀裂35カ所のうち、10カ所が含まれるという。10年度の事業費は2億8千万円。
対策について、郡司副大臣は「貯水量約400万トンのうち、少なくとも1%以上(の漏水防止に)は効果がある」と説明した。
同省は新年度、稲作などのかんがい期に27日間(135万トン)の用水を供給できるとしたが、荻柏原土地改良区は「計画の水源内訳などの値が実際の水不足の状況と懸け離れている」と批判。農水省が求める用水供給時のデータ検証に協力しない意向を示した。
国の姿勢は評価
広瀬勝貞知事の話 できるだけ給水する、必要な工事は国の責任でやるという姿勢は評価していい。ただ地元の人は納得していない。(両者が)事実関係や今後の見通しを擦り合わせる必要がある。
水収支めぐり深い溝
◆解説◆政権交代をはさんで注目された農水省の大蘇ダム対策。補修案を提示したことで一歩前進したが、受益地が納得できるとは言い難い。地域の水需要をどう満たすのか、抜本的な解決策は示されていない。
農水省と受益地には水収支計算の考え方に大きな隔たりがある。この日、農水省が示した水田の水源依存度は河川やため池が約74%。これらに地元は「現実と違う」と猛反発。溝の深さが浮き彫りになった。
地元は全面改修を求めているが、「400億円以上掛かる」と赤松広隆農水大臣はみている。国の財政事情が悪化する中、現実的に厳しい状況なのは農家もうすうす感じている。
それでも30年間待たされた農家の願いは重い。農水省はもっと農家に歩み寄るべきではないか。郡司副大臣が言った「地元と話し合う」姿勢が問われる。信頼関係が戻らなければ、互いの主張は平行線をたどるばかりだ。
一方で、なぜ“欠陥ダム”に600億円もの税金が使われたのか。十分な検証が必要だ。
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