
わんこそば全日本大会で3連覇を成し遂げ、「思い通りの勝負ができた」と話す青木さん
勝負の決め手は戦略―。岩手県花巻市で開催された第52回「わんこそば全日本大会」個人の部で、5分間に過去最高の254杯を平らげ、前人未到の3連覇を達成した別府市の精神科医青木貴孝(よしのり)さん(39)。2位に30杯以上の大差をつけた完勝の裏には、経験から導かれた独自の理論と、精神科医ならではの心理テクニックがあった。
青木さんは子どものころ鼻炎がひどく、常に鼻が詰まった状態だったため、「食べ物をかまずに飲み込む習慣が身に付き、大食漢になった」と自己分析している。自分よりたくさん食べる人に出会ったことがなく、「全国まで行けばつわものがいるだろう」と軽い気持ちで2年前、大会に出場。ぶっつけ本番だったが、223杯で見事優勝した。
転機は昨年の大会。優勝したものの、前回より杯数が落ちた。給仕との呼吸が合わなかったのが原因で、「短期決戦には戦略が必要」と強く感じた。
満を持して挑んだ今大会の目標は250杯超え。胃を大きくするため、1週間ほど前から食事の量を増やし、米を毎日5合食べた。並行して、胃の拡大を妨げる腹筋を極力使わないよう努めて生活した。
さらに、そばを食べる際、普通は捨てるつゆも一緒に飲むことで時間を短縮。げっぷを自在に出せる特技を生かし、胃の容量を考慮しながら、そばと一緒に飲み込んだ空気を吐き出して胃にスペースを作る、という“戦法”で臨んだ。
給仕役を務める高校生とのコミュニケーションにも心を砕いた。本番前から積極的に給仕を“カウンセリング”し、緊張をほぐすことに全力を注いだ。「勝負は給仕との二人三脚。この人を優勝させたいと思わせることで結果は全然違ってくるはず」。これらの作戦すべてが奏功したという。
大分県内の早食い大会でも全勝中だが、40歳を節目に、はしを置くことも考えている。「食べる楽しみもあるが、早食い大会の魅力は何といっても戦略。今回は思い通りの勝負ができた。完全燃焼しました」
<ポイント>わんこそば全日本大会
わんこそばを花巻市の名物にしようと、1957年にスタート。同市や観光関係者でつくる運営委員会が毎年2月11日に開いている。小学生、高校生、男女ペア、団体、個人の5部門があり、今回は全国各地から計150人が参加。1杯10グラムのそばを制限時間内に何杯食べられるか競った。
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