
人家の裏山が崩れ、死者を出した土砂災害=08年6月、九重町菅原
大分県は土砂災害防止法に基づいて土石流災害の被害想定などを行う「基礎調査」を進めているが、高齢者施設や病院など“災害弱者”が利用する施設が近くにある地域は、2013年度までに終える方針で取り組むことを14日までに明らかにした。昨年7月の中国・九州北部豪雨の際、山口県防府市で大規模な土石流が発生し、高齢者施設の入居者が多数死亡した事故を教訓にしたもの。データは施設や市町村の避難態勢づくりに役立ててもらう。
基礎調査は01年に施行した同法に基づき、急傾斜地の崩壊や土石流、地滑りなどの恐れがある危険個所を「土砂災害警戒区域」に指定するため、都道府県が行うもの。警戒区域のうち、建築物や住民への危険が特に大きい地域は(1)宅地分譲や社会福祉施設建設の制限(2)居住者への移転勧告―などを行うことができる「特別警戒区域」とする。
基礎調査では、調査員が現地で地形を観察し、スケッチ、写真撮影なども行い、土石流が進む方向や範囲といった被害想定エリアを確認する。調査結果は自治会などに公表し、避難態勢づくりや「減災」などに利用してもらっている。
県内の調査対象地域は約2万カ所。調査は03年度にスタートし、今年1月末までに警戒区域571カ所、特別警戒区域525カ所で実施した。
今後は特別養護老人ホームや児童福祉施設、特別支援学校などが近くにある365カ所の調査は最優先で実施し、13年度までにすべて終える予定。また、15年度までに調査する約5千カ所も、人口密集地域のほか施設がある地域全体を面的に調べることにしている。
県砂防課は「詳細な基礎調査を行うことで、被害想定区域を特定でき、住民の意識啓発はもちろん、安心安全にもつながる。年限ははっきりしないが、できるだけ早く2万カ所の調査を行いたい」と話している。
<ポイント>
【土砂災害防止法】 土砂災害の恐れがある地域を周辺住民に周知するとともに、警戒・避難態勢の整備、既存住居の移転促進―など主にソフト面での対策強化を目指している。県内の約2万カ所のうち、最も多いのは佐伯市で2996カ所。大分市は1958カ所。1998~2007年の10年間に発生した県内の土砂災害(がけ崩れや土石流など)は計464件で全国で7番目に多い。08年は19件だった。
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