
治療を待つ患者とその家族=昨年12月、ベトナム
大分大医学部の歯科口腔(こうくう)外科と大分岡病院(大分市)は、医療チームを組んでベトナムを訪れ、貧しくて病院に行けない口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)患者の治療に取り組んでいる。NPO法人・日本口唇口蓋裂協会(名古屋市)の呼び掛けに協力した活動で、「結婚します。治療のおかげです」と報告に訪れる青年もいて、関係者の励みになっている。
ベトナムでは、米軍がベトナム戦争で大量に使用した枯れ葉剤の影響で、生まれつき上唇や上あごが裂けている口唇口蓋裂患者の発生頻度が高いとされる。外見上の問題だけでなく、ミルクをうまく飲めなかったり、言葉を発しにくいケースもあり、患者の社会参加を難しくしている。
同NPO法人は1993年から全国の医師らに参加を募り、無償で手術をする活動を展開。これまで現地に36回派遣し、延べ約2千人の手術をしたという。
大分大医学部の歯科口腔外科は2002年から活動に参加。08年以降は大分岡病院とチームを組んでベトナムを訪れている。09年12月には、“大分チーム”の8人を含む39人が18~27日の日程で訪問し、50件の手術をした。
同医学部の高橋喜浩講師(44)は「患者は遠路を歩いてやって来る。結婚の報告に訪れた青年もいて、継続することの大切さを再認識した」。医学科6年の高橋幸治さん(24)、看護科4年の稲田明希さん(23)は「現地での活動は自信になり、チーム医療の重要性も学んだ」と話した。
現地で課題となっている貧困からの脱却や公衆衛生、医療の普及を支援するため調査も実施した。大分岡病院の平山祐子看護師(38)は「家庭での口腔ケアや心理的な支援の必要性を痛感した」という。経済学部の大学院1年の増山信一さん(23)は、住民の生産活動などに融資する少額無担保融資制度を視察した。
同病院の柳沢繁孝名誉院長(67)は「ベトナムで手術を受けられるのは一握りの富裕層だけ。国際社会がこのような問題に目を向け、救済や改善に一歩を踏み出してほしい」と話した。
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