
最優秀作に輝いた「苔の、むすまで。」の作者、伊藤香織さん=22日
第40回九州芸術祭文学賞の最優秀作に、伊藤香織さん(34)=佐伯市弥生、無職=の「苔(こけ)の、むすまで。」が選ばれた。県内からは第39回の近藤勲(のり)公(ひろ)さん=津久見市、県農協職員=の「黒い顔」に続き、2年連続で最優秀作受賞となった。
今回は、九州・沖縄8県と福岡、北九州両市の10地区から計295編(うち県内から20編)の応募があった。昨年11月の第1次選考で各地区優秀作10編を選出。秋山駿(文芸評論家)、五木寛之(作家)、村田喜代子(作家)、舩山幹雄(「文学界」編集長)の各氏が選考委員となり21日、東京で最終選考を行った。
受賞作「苔の、むすまで。」は、心の病で体調を崩した30代の女性が故郷に戻り、自然や肉親との触れ合いの中で活力を取り戻していく過程を、大分方言を交えた柔らかい文体で描いた。最終選考では「軽快で個性的な文章は最近の若い世代のセンス。構成も面白い」と高く評価された。「文学界」(文芸春秋)4月号に掲載される。
伊藤さんは元読売新聞記者。同文学賞に応募したのは今回が2回目で、昨年は地区次席に選ばれた。受賞の知らせを受けた伊藤さんは「びっくりしました。伝統があり、芥川賞作家も輩出している賞なので素直にうれしいです」と喜んだ。「自分は長い小説の方が合っている気がするので、受賞を励みにこれからは長編を書いていきたい」と抱負を語った。
表彰式は3月18日、福岡市のアクロス福岡シンフォニーホールで。
<ポイント>
【九州芸術祭文学賞】 1970年から九州文化協会が各県と共催。埋もれた人材を発掘・育成し、九州・沖縄の文学活動を盛り上げることが目的。最優秀作は地区優秀作の中から選ぶ。受賞者の中からは芥川賞作家も4人出ており、新人の登竜門として知られている。県内からはほかに第4回(1973年度)で小郷穆(しず)子(こ)さん(故人)が「遠い日の墓標」で受賞している。
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