
職員による多額の着服が発覚し、記者会見で頭を下げる大分みらい信用金庫の原好信理事長(中央)ら=22日午後3時4分、別府市駅前本町の大分みらい信用金庫本店
サッカーくじ(toto)や数字選択式宝くじ(ロト6)に2700万円、消費者金融の返済に800万円、パチンコなどの遊興費に600万円―。22日に明らかになった大分みらい信用金庫元職員の着服と流用。「宝くじを一発当てて、清算しようとする意図がありあり。一度に30万円分も買ったこともある」(原好信理事長)という。くじで当たった最高額は焼け石に水の50万円ほど。客の金に次々と手を付け“自転車操業”を続けていた。
元職員は1998年採用。関係者によると、学生時代からパチンコなどで借金があった。鶴見支店(別府市大畑)で勤務していた2002年8月、「家族が借金で困っている」と言葉巧みに顧客から金を借りた。就業規則に反するため固く口止め。返済のため、別の顧客に同じ手口を使い「借りては返す」行為を繰り返した。その結果、27人から141回、計1億5600万円を借り入れた。
05年3月、南支店(同市千代町)に転勤。借金返済にと、totoや宝くじを買い続けたが、ついに同年11月、「キャンペーン中なので、わたしの成績のために一時、定期預金に預けてほしい」と、顧客の預金に手を付けた。
新たに金を捻出(ねんしゅつ)しなければ着服・流用が発覚する。一生懸命に勧誘する姿は「仕事熱心」と見えた。そのためか顧客から人気があり、疑われることはなかった。出金伝票などの事務処理は正確で、一部の人には利息を付けて返すほどの念の入れよう。23人と2事業所から、計218回にわたり着服・流用をした。
同金庫は年に1度、職員に1週間ほどの長期休暇を取らせ、その間に不正をしていないかチェックしている。元職員は毎年、休暇を取っていたが、不正は見抜けなかった。
不正対策後も見抜けず
◆解説◆大分みらい信用金庫が22日に発表した職員の着服と流用は、別の職員による着服が明らかになった2008年以前から続いていたにもかかわらず、同信金が再発防止策を講じた後も不正を見抜けなかったところに問題がある。
発覚のきっかけは入出金の不正判明によるものではなく、顧客からの借金という就業規則違反行為だった。入出金の事務手続きは規定通りだったといい、顧客の話がなければ「(不正が)分からなかったこともあり得た」(原好信理事長)という。元職員は「いつ分かるかと怖かった」というが、結局この4年間、見つかることはなかった。
原理事長は「前回の事件後、いろんな対応策をやってきたが、実効性がなかった」と陳謝。「やはり職員全員に法令順守の精神を醸成することがまず必要だ」と言う。いまさらながら、不正防止を精神論に求めざるを得ないところに、事態の深刻さが現れている。 (経済部・小林大輔)
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