
12連覇を果たし、笑顔で長女の心華ちゃんを抱く永世名人の西郷直樹さん=9日夜、大津市の近江神宮
大津市の近江神宮で開かれた小倉百人一首の競技かるた日本一を決める「第56期名人位決定戦」で9日、東京都の会社員で永世名人の西郷直樹さん(31)=大分市出身=が福井県の会社員三好輝明さん(26)を破り、自己の持つ記録を更新する12連覇を達成した。第54期クイーン位決定戦は、京都市の立命館大2年で永世クイーンの楠木早紀さん(20)=中津市出身=が6連覇した。
先に3勝すれば勝つ名人位戦は、西郷さんが2連敗の後に3連勝。最終戦は6枚差をつけて名人の座を守り「どうしようもないというところまで追い込まれたが、勝ててよかった」と晴れ晴れとした表情だった。
三好さんは2年前の対戦で西郷さんの連勝記録を27でストップさせたが、今回もあと一歩届かず、「また来年挑戦したい」と雪辱を誓った。
埼玉県戸田市の家事手伝い吉峰翼さん(27)と対戦した楠木さんは「勝ちたいという執念で押し切った。終わってほっとしている」と表情を緩めた。吉峰さんは「メンタル面を強くしたい」と話した。
三好さんと吉峰さんは全国の4段以上の計149人から勝ち抜いて、名人、クイーンに挑んだ。決定戦は全日本かるた協会の主催。舞台となった近江神宮には百人一首の最初の歌を詠んだ天智天皇が祭られている。
「ほっとしています」。ひたいに浮かんだ汗が熱戦を物語った。近江神宮(大津市)で9日に開かれた小倉百人一首競技かるたで、史上初の12連覇を果たした東京都葛飾区の永世名人西郷直樹さん(31)=大分市出身。5歳の長男らに「パパおめでとう」と祝福されると、ようやく笑顔を見せた。
前人未到の記録を樹立した西郷さん。2連敗する苦しい展開だったが、集中力は途切れなかった。「一枚一枚取るしかない」と3連勝。
勝負を決める札をはじき飛ばすと、かたずをのんで見守っていた観客から大きな拍手が起きた。
西郷さんは会場にお守り十数個を持ち込み、身に着けたたすきには、会社の同僚からのメッセージが書かれていた。
最後まで名人を追いつめた挑戦者の三好輝明さん(26)は「勝負どころで確実性が足りなかったと思う」と分析。「残念です。勝ち急いでしまった」と唇をかみしめ、来年の再挑戦を口にした。
クイーン戦では京都市の立命館大2年の楠木早紀さん(20)=中津市出身=が粘る挑戦者の吉峰翼さん(27)を振り切り、6連覇を達成。試合後には「やっと終わった。バーゲンに行きたい」と白い歯をのぞかせ、大学生の顔に戻っていた。
女王の地元も感無量
楠木さんの地元中津市では、祖母の八崎澄子さん(86)方=同市永添=に親類が集まり、テレビで厳しい戦いを見守った。
勝負が決まった瞬間、八崎さんに安堵(あんど)の表情が浮かんだ。「胸がいっぱいで何も言えない。6連覇は周囲の皆さんのおかげです」と感無量の様子だった。いとこの栗田貴之さん(20)は「早紀ちゃんなら動揺せずにやってくれると信じていた。これで笑顔で一緒に成人式に行けます」と喜んだ。
また、会場で観戦した「中津かるた会」指導者の田中裕行さんは「苦しい場面になると会場を見回したり、汗をぬぐったりしていたが、自分をコントロールできていた。クイーンの風格が出てきたと感じた」と称賛した。
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