大分のニュース

高齢者癒やす新たな“犬生” 老犬ホームに

[2010年01月10日 09:18]

盲導犬を引退したイアン。今後はセラピー犬として生きる=9日、大分市廻栖野の老犬ホーム「和泉しあわせの丘りあん」

 大分市廻栖野にある九州初の老犬ホーム「和泉しあわせの丘りあん」に9日、ユーザー(使用者)が亡くなったため盲導犬を引退したイアン(ラブラドルレトリバー、雄・4歳)が入居した。イアンは第2の“犬生”を、お年寄りの心を癒やすセラピー犬として歩むが、このようなケースは九州でも大変珍しい。ホームへの引き渡し式には、隣接する高齢者施設のお年寄りも訪れて温かく迎えた。

 イアンは東日本盲導犬協会(栃木県)で訓練を受け、2歳だった2007年に大分市の藤沢直美さん(故人)の元に来た。「散歩、病院への付き添い、どんなときもぴたりと寄り添っていた。イアンのおかげで妻の行動範囲は格段に広がった」と夫の夏美さん(63)は振り返る。
 しかし、昨年12月、直美さんは病気のため62歳で他界。火葬場で、イアンは不帰のあるじを待ち、足を踏ん張って動こうとしなかったという。
 引き渡し式には、イアンの訓練を担当した木戸八寿子さん(26)も栃木から駆け付けた。八木さんはイアンからハーネス(胴輪)を外し、「ここなら愛情をたっぷり受けられる。まだ若いので新たな役割を担って幸せに暮らしてほしい」と優しく体をなでた。
 その様子を見ていた高齢者施設利用者の奈須信子さん(76)、佐藤ケサ子さん(88)、河野早人さん(84)は「イアンが来たので、これからにぎやかになる。触れ合うのが楽しみ」。大分盲導犬協会の湯沢純一会長(59)は「盲導犬の余生を安心して託すことができる施設があるのは、わたしたちユーザーにとっても心強い」と喜んだ。
 老犬ホーム管理者の外川水奈子さん(35)は「普段はほとんどしゃべらないお年寄りが犬には話し掛けたり、触れようと手を伸ばしたりする。犬にはそんな特別な力がある。今後は一緒に福祉施設や教育現場を回り、命の大切さを伝える活動もしたい」と話した。

 <ポイント>老犬ホームりあん
 「りあん」はフランス語で「きずな」の意味。引退後の盲導犬や介助犬を引き取る九州初の専門施設として昨春オープン。同ホームでは、外川さんが犬の毛を切りそろえたり、洗ったりするグルーミングの営業も行っており、その収益などでホームを運営している。NPO法人の認証を県に申請中で、認証後は会員やボランティアを募って活動する。

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