
20年後には約30%が耕作放棄地になると予測される別府市内成地区の棚田
20年後には農家の約30%が姿を消し、棚田の約30%は耕作放棄地になる―。「日本の棚田百選」の一つ、別府市内成地区の棚田に関して、立命館アジア太平洋大学(APU)の磯田弦(ゆずる)准教授(地理学)らがこんな将来予測を示した。「現状と将来の姿を具体的に知り、地域の将来計画づくりの参考にしてほしい」としている。
調査は昨年8月、課外実習として行い、学生22人が参加した。高齢化・後継者不足が棚田に及ぼす影響がいつごろ、どれくらいの規模で表面化してくるかを明らかにするため、内成地区の農家全71戸を対象にアンケートを実施。後継者の有無などについて59戸から回答を得た。
その結果、農業従事者の平均年齢は67歳で、80代も多い。後継者が既にいる、またはいるだろうと見込んでいるのは19戸で、後継者の大半は定年後の就農を考えていた。これらのデータを総合すると、約1400枚の棚田のうち、10年後に12%、20年後に32%、30年後には55%が耕作放棄地になると予測できるという。
農地の生産性については、農家の89%が「優」または「良」と高く評価したが、自己消費分を賄う程度の農家が多いのが現状。不定型な棚田は耕作しにくいため、「生産性の低い農地をいかに存続させられるかが棚田の景観を守る鍵となる」と分析した。
農家の一人で棚田里山景観研究所を主宰する後藤幸彦さん(56)は「棚田保全に対する住民の機運も高まっている。今回の調査をたたき台に、田んぼ一枚一枚に適した活用計画を立てるなど、新しい方策が生まれそう」と期待を抱く。
磯田准教授は「内成地区は別府、大分両市の中心部から30分圏内のため、兼業による就農は十分可能。生産性の高い一部の農地は受委託という方法で存続させられる」と説明。一方で「地区内の人の結び付きを強化するなど、後継者世代が生活しやすい環境の整備が必要。U、Iターン者を積極的に受け入れる態勢づくりも必要ではないか」と話している。
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