
「自分たちで自分たちを守ろう」。旗を持つ平野昭光さんら筌口地区の住民
元気の印は「げんき」の旗―。杵築市大田の筌口地区で、朝に自宅の玄関前などに旗を出し、夕方にしまう取り組みが定着している。一人暮らしの高齢者宅などで実施しているもので、旗の有無で互いの無事を確認し合うのが目的。地区住民は「高齢化が著しい地区だが、助け合いの精神が地域を支えている。同様の事態に悩むほかの地区にも取り組みが広がってほしい」と願っている。
2009年の春から始めた。同地区で市の福祉委員を務める中山田秀俊さん(53)が提案し、14軒に「げんき」と書かれた旗を配った。健康づくりのために散歩をする人が多く、旗が出ていない家があれば声を掛ける新たな習慣が生まれた。
11月には、自宅で倒れている女性を近くに住む住民が見つけて救急車を呼んだ。女性は脳梗塞(こうそく)だったが、素早い処置で一命をとりとめたという。
小野隆治区長(75)によると、地区は現在27戸で、住民は45人。そのうち、65歳以下の“若手”は8人で、40歳代はいないという。高齢者の占める割合は80%を超えており、「自慢にならないが、高齢化率は県内トップクラス」と小野区長。一人暮らしの高齢者は12人で、高齢者同士の夫婦も4組いる。
もともと地域の連携が密で、「寝たきりの高齢者はゼロ」という元気な地域。筌口地区老人クラブ(中山田清二会長)は月に2回、健康体操やカラオケなどの催しを企画している。中山田会長は「誰かの姿をしばらく見ない、という状況が生まれないようにしている」と胸を張る。
一人暮らしの平野昭光さん(81)は「旗を出し入れするようになってから、自分は一人ではないと感じる」と話す。「今は元気に過ごしているが、万が一、何かあっても、誰かが来てくれる。安心です」と笑顔を見せた。
中山田秀俊さんは「旗代以外では、特別な経費は掛かっていない。高齢化社会では、自分たちで自分たちを守るシステムが必要だと思います」と話した。
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