
別府市の楠港跡地に進出した「ゆめタウン別府」
浜田博別府市長の足元で、懸案の「火種」がくすぶっている。出直し市長選や別府商工会議所移転など、紆余(うよ)曲折を経て楠港跡地に進出した「ゆめタウン別府」のオープンから今冬で丸2年。誘致派の切り札の一つだったのがシネコン建設だが、経済情勢の悪化などを理由に建設が遅れ、浜田市長の任期中の建設実現は絶望的となった。市民の期待を集めた“公約”だっただけに、政治責任を問う声も上がっている。
「しばらく延期させてもらいたい」。ゆめタウンを経営するイズミ(広島市)の山西泰明社長は23日、記者会見し、同社の収益悪化を説明。浜田市長の任期中にシネコンなどを建設するとした2期計画について猶予を求めた。シネコン建設は地元商店街との共同立体駐車場や屋根付き歩道橋などとともに、イズミと市が2006年に交わした立地協定に盛り込まれている。
鳴り物入りで07年11月にオープンした同施設だったが、初年度から年間売り上げ目標の120億円を大幅に下回る95億円と苦戦。2年目の今年も業績は低迷。懸念された交通渋滞は起きず、「今や歩道橋は不要。中心市街地への波及効果も限定的となれば、商工会館を移転する必要もなかった」と商工関係者。ただ、シネコンに限っては若い世代を中心に要望も聞こえる。
同社とトップ会談を重ねてきた浜田市長は25日、延期表明を受けて「選挙までして誘致した企業。市民の理解を得ずに私から(シネコンを造らなくて)いいですよ、とは言えない」としながら、「任期中が無理ならば、猶予を与えてもいいかもしれない」と“公約変更”をにおわせた。来年1月中にも判断したいという。
シネコン問題は市議会でも議論を呼んでいる。施設誘致を進めた自民党系市議には「現在の経済情勢ではシネコンは実現不可能。別の地域貢献策を求めるべきだ」との現実論がある。
一方、誘致に反対した市議は「経済の悪化以前に、『採算度外視でシネコンを造る』とイズミは言っていたはず」と指摘。「出直し市長選は誘致の是非が争点だった。公約の重要部分が実現しないのなら、市を二分したあの選挙は何だったのか。政治責任はどうなる」と疑問を投げ掛ける。
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