別府湾を一望できる景観と歴史的建造物の風格が落ち着いた雰囲気を醸し出す日出町中心部の暘谷城跡周辺。この城跡周辺を、観光客や地元町民らでにぎわうスポットにしようと、町が歴史的景観にあった観光施設の建設や道路整備などを進め、城下町らしい古き良き町並みづくりを目指している。
暘谷城跡の周辺整備の“目玉”として、町が城の二の丸があった場所に建設しているのが「暘谷城二の丸館」だ。暘谷城跡周辺はこれまで、駐車スペースが少なく団体客などを受け入れる整備が十分とはいえなかった。国道10号から少し入った場所にあり「分かりづらい」という声もあった。二の丸館はこれらの課題を解消して観光客らの寄り付きをよくし、周辺を散策する拠点にする狙い。
木造平屋(338平方メートル)で、11月15日には棟上げも完了。来年2月ごろに完成する予定。約70本の松を柱などに使った木造建築で、御殿をイメージしている。館の周囲には「野面積(のづらづみ)」と呼ばれる山から掘り出した自然石をそのまま積み重ねる技法を使った石垣を設ける。
館には、農産物を中心にした朝市、フリーマーケットなどができる多目的スペースやテーブルやいすを置いて休憩できる交流スペースを設ける予定。町観光協会は観光案内所を設置する。吉成隆事務局長(54)は「館を町の玄関に見立てて、観光パンフレットや町内の各種情報を観光客に提供し、町内を回ってもらえるようにしたい」と期待を膨らませている。
復元進む裏門櫓
暘谷城の遺構である裏門櫓(うらもんやぐら)の移築復元作業が二の丸館の隣接地で進んでいる。歴史的建造物を当時の姿に再現して、城下町の雰囲気を高める。町の伝統工芸品などの展示室として利用する。
同櫓はこれまで町内の個人が所有し、解体や組み立てを繰り返して場所を転々としていた。2000年に町に譲渡され、部材を保管していた。
現在、外装の土壁にわらと土を調合して自然発酵させた特殊な土を何層にも塗り固めていく作業が続いている。屋根瓦も建設当時使われていた家紋入りのものをそのまま取り付ける予定で、足りない分は同じ形の瓦を復元する。
城の遺構で、北東に向いた隅(角)を欠いた変則五角形の形をした隅櫓(すみやぐら)=別名「鬼門櫓」=も所有者から寄贈を受け、町が解体調査中。城跡近くの万里図書館の敷地内に移設する計画を立てている。全国的にも珍しい形で、江戸時代には陰陽(おんみょう)道で北東側は鬼門とされ、邪気が入らないよう隅が取り除かれたという。
「城下町らしく」町道も整備
暘谷城跡周辺の町道では、城下町らしさを出すための整備が進んでいる。二の丸館前の町道(約200メートル)は、植栽や石を敷き詰めた水路の設置、電線地中化に向けたパイプ埋設工事などが行われている。老舗料亭「的山荘」前の町道(約170メートル)も、2010年中に玉砂利を敷くなどする予定。
二の丸館を中心にした一帯の整備は、国の町づくり交付金事業を活用した「都市再生整備計画」の一環。事業費は総額5億7600万円で、2010年度までの5カ年計画で取り組んでいる。昨年12月の定例町議会では、周辺に残る武家屋敷などの景観を保全するため、「暘谷城跡周辺景観保全条例」を制定した。
整備を担当する町商工観光課は「町並みを楽しみながらゆっくり散策し、心を癒やせるような道に仕上げたい」としている。工藤要一課長(58)は「町内の幹線道路は国東半島へつながる交通の要所。最近は町内を訪れる観光客が減っている。二の丸館を起爆剤に多くの来訪者を呼び込みたい」と話した。
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