
「ものづくりが好きだったからここまでやれた」と話す吉本正隆さん=宇佐市江須賀の吉本本家石材店
卓越した技能者を表彰する本年度の「現代の名工」に、県内から宇佐市江須賀の石積工、吉本正隆さん(62)=吉本本家石材店社長=が選ばれた。10日、東京・明治記念館で表彰式がある。
宇佐市院内町が日本一の数(75基)と誇る石造アーチ橋。約20年前、分寺橋の高欄(欄干)補強工事に携わって以来、たびたび石橋の改修を手掛けてきた。
上からの力には強いが、下から押し上げる力に弱い構造の強度を増すための技術を研究。基礎石(土台部分)、起(き)洪(こう)石(アーチ状に積み重ねた一番下の石)、拱環(こうかん)石(アーチを構成する石)にステンレス製の棒やワイヤを埋め込んで通し、一体化させる工法を開発した。
「石積みには土木工事の基本がすべて入っており、職人の技術を高めるのに大いに役立つ」と強調する。「(石橋の)工事の時に石を外すとよく分かるが、当時の技術の高さは驚くほど。石橋に関する仕事があるとワクワクする」とし、地域の文化として子どもたちに伝えたい―と石橋造りの体験教室なども積極的に開いている。
学校を卒業してサラリーマン生活を送っていたが、24歳の時に入社。2代目社長だった義父は職人肌で「見て盗め」と何も教えてくれなかったが、持ち前の研究熱心さで努力を重ねてきた。石像やモニュメントの製造でも優れた技能を持ち、2005年に全国技能士会連合会から石材施工のマイスターの認定を受けた。「違う世界から飛び込んだが、ものづくりが好きだったからここまでやれた。今はすっかり石に魅せられている」と笑う。
職人育成のため、6年前から県石材技能士会で石積みの技能検定を始めた。「石には冷たいイメージがあるが、手の加え方で優しさ、温かみが出る。石の持つ素朴な味を大切にする若い職人をもっと増やしたい」と話している。
※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。
Copyright (c) 2008 OITA GODO SHIMBUNSHA