
流れるカエデの紅葉も美しい鳴子川渓流=九重町大船林道ゲート
九重町の秋は表情が豊かだ。平地部の同町役場庁舎と、くじゅう連山の三俣山頂との標高差は約1300メートル。それだけに“九重の秋”は広くて奥深く、自然はドラマチックな衣替えを演出する。自然保護や町の観光にかかわる3人に、こだわりの秋を聞いた。
深い原生林に覆われ 鳴子川渓流
<推薦者=環境省くじゅう自然保護官事務所のアクティブレンジャーの種村英大さん(27)>
くじゅう連山を日々活動のフィールドに、レンジャーとしての勤務歴は1年半になる。連山のほとんどを歩き尽くし、紅葉のポイントを熟知した種村さんのお薦めは、千町無田の奥にある「鳴子川渓流」。
九州横断道路から吉部経由で7、8分走れば大船林道のゲートに着く。深い原生林に覆われた渓流は、坊ガツルに向かう登山道に沿うように流れ、上流に向かって右側にカエデやナラ類の老大樹と、赤の映えるドウダンツツジが多い。
「カエデなどの葉が流れに逆らってたまる様子に趣があり、たたずむと川の流れに乗って落ち葉のにおいが漂ってくる」と、静かな秋のムードを強調。
「登山道入り口はゲート手前200メートルにあり、暮雨(くらさめ)の滝に通じる健脚向きの場所。冷え込みが早いので、夕方遅くまではとどまらないように」と種村さん。
逆光受けると銀色に タデ原のススキ
<推薦者=九重の自然を守る会理事長の渡辺格雄さん(68)>
守る会の発足当時からの会員。実直な人柄から仲間は「格ちゃん」と、親しみを込めて呼ぶ。秋のお薦めポイントを尋ねると、開口一番「タデ原のススキ」を挙げた。
くじゅう連山長者原登山口そばに広がるタデ原は、ススキを中心にヨシやヌマガヤが混生した湿原。登山口から2本の木道が通じていて、四季の風情を手近に体感できる。
「飯田高原でススキ林の広さは、ここと泉水山ろくの2カ所が一番。春に火入れをしているので、草丈がそろって丈夫。逆光の日差しを受けると、穂先一つ一つが銀色に輝いて見える」と、素晴らしさを語る。
現地を案内しながら「ここではスイスイと歩くのではなく、時間を忘れて楽しんでほしい。落ち着いて散策するのがここの醍醐味(だいごみ)」。マイヅルソウの赤い実を手に、優しく話してくれた。
河床に立ち“味わって” 天ヶ谷渓谷
<推薦者=九重町商工観光課長の篠原正昭さん(55)>
オープンして3年足らずで、入場者500万人を達成した「九重“夢”大吊橋」を抱えた同町で、商工観光課勤務は通算6年。町内の見どころの中からピックアップしたのは、飯田高原に向かう四季彩ロードから手軽に探勝できる「天ケ谷渓谷」の小さな秋。
涌蓋(わいた)山ろくの地蔵原にある天ケ谷貯水池の下流域一帯で、天ケ谷橋そばの「あいのせ茶屋」駐車場から渓谷に下りる道がある。地形の関係で霜の降りるのが早く、飯田高原の中でも紅葉の訪れがやや早い。
「裏九酔渓に当たる場所になり、橋の上からも紅葉は望めるが、ここではぜひ河床に立ってほしい。紅葉を目の前に感じることができ、道路からとは違った雰囲気で味わえる。両岸の岩肌の白さや清流がきれいです」と推奨する。
「車で2、3分ほど離れた場所には、秋を180度の眺望で味わえる峠があるので、ぜひ立ち寄ってみては」と篠原課長。
*本社ホームページ(www.oita‐press.co.jp)の動画もご覧ください。
[PR]セントラル短資FX
※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。
![]()