
最終便が到着した後、ホーバーの前に勢ぞろいした乗務員=31日午後10時6分、大分市西新地のホーバー基地
大分市と大分空港を結ぶ大分ホーバーフェリー(大分市、木元智社長)が31日、営業運航を終えた。水煙を上げて疾走する雄姿の“ラストラン”に合わせて多くの乗船客が訪れる中、海上を駆け抜けた38年間に幕を閉じた。
午後9時49分。最終便は定刻より30分ほど遅れ、「ブォー」という独特のエンジン音を響かせながら大分ホーバー基地(大分市西新地)に滑り込んだ。従業員が出迎える中、エンジン音が鳴りやんだ。見物客からは拍手が起き、涙を流す従業員もいた。最終便の津久見和博船長(45)は「最後まで安全に気を付けて運転した。25年間乗ったホーバーがなくなるのは寂しい」と振り返った。
運航最終日は今までにないにぎわいぶりだった。早朝便から「思い出に」と体験乗船する家族連れなどで満席。臨時の6便を含む計32便に通常の4倍ほどの約2600人が乗船し、乗り場は長蛇の列が続いた。岸壁には最後の姿をカメラに収めようという人たちが並び、ホーバーに手を振って別れを惜しんだ。
体験乗船した大分市の主婦山村雅子さん(47)は「大学受験など人生の節目の時、いつもホーバーに乗って大分空港に向かっていた」。娘の安矢佳さん(7)は「以前に乗った時にホーバーから見えた夜景がきれいだった。また乗りたいけど…」と残念そう。
同社は1970年設立。翌年の大分空港開港に合わせて運航をスタートした。これまで国内唯一のホーバークラフトの定期航路として大分市と大分空港間29キロを約30分で結んできた。
しかし、大分空港につながる道路整備が進んだことや景気悪化などで、利用者は90年度の43万9千人をピークに激減。昨年度は24万9千人だった。今年9月30日に民事再生手続きの開始を申し立て、10月末の運航休止を決めていた。
「忘れないでほしい」 木元智社長の話
できればホーバーを“大分の宝”として守りたかった。しかし、運航休止が決まった後の残り1カ月間は多くの人に利用してもらい、県民に愛されていたと感じた。ぜひホーバーのことを忘れないでほしい。
※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。
Copyright (c) 2008 OITA GODO SHIMBUNSHA