
稼働率を確保するため、製品の輸出比率を高めた太平洋セメント大分工場=津久見市
緩やかな生産回復が続く県内の製造業で、外需頼みが鮮明化している。リーマン・ショック以降、景気回復の足取りが鈍い国内の需要が伸び悩む一方、東南アジアをはじめ、経済成長の著しい新興国の台頭で、輸出先にも多様化がみられる。
新日鉄大分製鉄所(大分市)は、大幅改修を終えた第1高炉が8月から再稼働。稼働率は90%に迫る勢いだが、輸出依存が顕著。自動車や家電などに幅広く用いられる鋼材(熱延コイル)の出荷額全体に占める輸出割合は、2005~08年度は平均38・2%だった。 これが09年度上期(4~9月)は58・1%と、約20ポイント上昇。船舶向けなどの厚板を含めた全体出荷量に占める、アジア地域への輸出割合でも、同じ比較で26・6%から43・6%に上がった。同製鉄所は「韓国や中国はもちろん、そのほかの新興国など出荷先が多様化している」と説明する。
「マンションなど民需に動きがない上、新政権の公共工事削減方針により、内需はほとんど期待できない」と話すのは、太平洋セメント大分工場(津久見市)。出荷量に占める輸出の割合は、昨年度の55%から本年度は70%を超える見通し。
ナイジェリアやケニアなどアフリカ諸国の比率も高い。同工場は「東南アジアでは自国内での供給量が既に十分ある。生産設備が不足気味の発展途上国を含めた輸出先を確保することで、工場の稼働率を維持している」と、業界環境の厳しさを強調する。
新日本石油精製大分製油所(大分市)は9月、パラキシレン工場が約4カ月ぶりに再稼働。「東南アジアや中東は工場増設の動きが活発で、価格競争が激しい」と指摘した。
半導体関連の地場企業は「設備投資の動きが鈍い中、息を吹き返した台湾企業からの受注に期待している」と話す。中国で高炉の増設が相次ぐ製鉄業界をはじめ、輸出産業はいずれの分野も新興国が主戦場。コスト競争力強化が大きな課題となっている。
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