大分のニュース

「ブオー」重低音に名残 ホーバー乗船ルポ

[2009年10月29日 14:33]

乗船後、ホーバークラフト前で記念撮影する乗客=28日、国東市のホーバー空港乗り場

 大分空港(国東市)と大分市を結び、サラリーマンや観光客らに親しまれてきたホーバークラフト。今月いっぱいで運航が休止されるのを前に、「もう一度乗っておきたい」と思い出づくりに乗船する人たちでにぎわっている。28日午後、大分市西新地の乗り場を訪ねた。

 「ブオー」。エンジンの重低音が響くと、白と赤で彩った船体が一気に浮き上がった。平日にもかかわらず、背広姿の男性や家族連れで、座席の約7割が埋まっていた。
 午後0時50分。地面を滑るように動き始めた。間もなく、海に出て真っ白な水しぶきが上がると、子どもたちの歓声が飛び交った。
 大分市の実家で過ごし、千葉県柏市に戻る途中の会社員、中山純二さん(28)の長女真希ちゃん(5)は「エンジンの音が大きくてすごい」。
 太陽に照らされ、キラキラと輝く別府湾を進む。左側の窓の向こうに高崎山や別府の市街地が広がっていた。小さな漁船の間を抜けていくと、前方に大分空港が見えてきた。「間もなく到着します」のアナウンスが流れ、約30分の短い船旅の終わりを告げた。
 タラップを下りると、家族連れが船体下部の黒光りしているゴムに触れていた。岩間慶太君(5)=大分市牧=は「ゴムがすごく硬い」と驚いた様子。父文彦さん(37)=公務員=は「乗り物好きの息子がホーバーに乗ったことがなかったので乗船した」と話した。
 堤末子さん(52)=同市大道町・主婦=は「ホーバーは旅行の際に日常を離れることを意識させてくれる特別な存在だった」と名残惜しそうに船体に触れた。
 運航している大分ホーバーフェリーは、昨年から5時間以内の利用を条件に、往復2800円(大人)で乗れる「体験乗船」切符を販売している。同社によると、9月30日に運航休止を発表して以降、週末には1日に約千人の体験乗船客が訪れているという。
 (社会部・伊藤友仁)

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