
「データからサル社会の様子が分かる」と松井猛さん
「高崎山」発のニホンザル観察データと論文が、国内外で注目されている。専門家によって今年4月に日本人類学会(京都市)の国際学術誌に論文が掲載されたほか、来年1月には日本モンキーセンター(愛知県犬山市)発行の学会誌にも国際論文が発表される予定。元霊長類研究所長の杉山幸丸・京都大学名誉教授(74)も「高崎山の調査記録は貴重」と評価、「論文を通して、世界にアピールしたい」と話している。
これらの論文の基となっているのが、大分市高崎山自然動物園の名物ガイドとして知られた松井猛さん(64)=大分市中津留=と、同動物園スタッフによる生態記録だ。
松井さんは1973年から高崎山に勤め、約30年間にわたって寄せ場ガイドを担当。サルの個体識別、家系(血統)図、優劣関係などを独自に調査し、群れを成すニホンザルの生態解明に尽くしてきた。専門家らはこれらの観察データの中から未解析データを次々に分析して、霊長類の国際学術誌に発表している。
松井さん自らは現役時代の83年、えさの量と出産の関係を調べた論文を発表。今秋、約26年ぶりとなる2作目の論文「ニホンザル(オス)の社会行動に関する研究」をまとめた。今回は現役時代の88年7月から3カ月間にわたる調査結果を分析。当時A、B、C群に分かれていたボスザル(αオス)たちを対象に(1)1分間隔の行動(2)けんかの介入(3)攻撃行動と方法―などを数値化。リーダーの存在や仕事量、ほかのオスたちの行動などを明らかにした。
「親から守られて育ったサルはボスになっても仲間を守れず、群れの弱体化を招く。それが2002年のA群崩壊につながった」と松井さん。「データからはサル社会の様子が分かる。今後の調査、研究に生かしてもらえるよう、論文は高崎山の記念館や大分市に寄贈したい」と話している。
※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。
Copyright (c) 2008 OITA GODO SHIMBUNSHA