大分のニュース

県内初の裁判員裁判 開かれた司法へ一歩

[2009年10月18日 10:23]

県内で初の裁判員裁判の判決言い渡しがあった大分地裁=16日午後、大分市荷揚町

 大分地裁で16日まで開かれた県内初の裁判員裁判。裁判員経験者は「裁判の内容は分かりやすかった」「市民感覚で発言できた」と感想を述べた。「もう一度やるのは遠慮したい」との声もあり、裁判員の負担は小さくはないが、市民が法壇に座ることで刑事裁判は格段に分かりやすく、身近な存在になったことは間違いない。

 最も変化したのは、検察官と弁護人の主張、立証だった。論告で検察官は原稿を持たず、身ぶり手ぶりを交え、「被害者の苦しみを、ぜひ想像してみてください」と裁判員に訴えかけた。ほかの地検の例を参考に、担当した検事3人でリハーサルをしたという。この“組織的”な準備は「胸に迫るものがあった」と裁判員から高く評価された。
 一方の弁護人。しっかりと練り上げた検察側ほどの表現力はなかったが、事件の概要を平易な言葉で説明し、被告を「さん」付けで呼ぶなど随所に工夫が見られた。
 弁論では「重い刑罰だけで治安は守れない。刑罰は復讐(ふくしゅう)でもなければ、ばち(罰)でもない。被告に納得させ、更生を誓わせなければならない」と詳しく解説。具体的な量刑も述べ、裁判員が考えやすいよう配慮していた。
 判決文も「法を守ろうとする意識」など簡単な言葉に言い換えた部分が見られた。しかし、「被害者にも一定の非があったことを否定できない」「動機において酌むべき点がないとは言えない」など“独特”の言い回しはこれまで通りだった。これから裁判員になる可能性のある市民には、敷居の高さを感じさせたのではないだろうか。
 判決後、検察側、弁護側とも記者会見に臨み、裁判を総括した。裁判員を経験した臼杵市の会社員藍沢郁さん(50)は「少しでもみんなに声を伝えたい」と、実名を出して約2時間の会見に応じ、貴重な経験の一端を語った。
 一方、裁判員制度の旗振り役であるはずの裁判所の宮本孝文裁判長は「評議を尽くすことができた」など、わずか50字ほどのコメントを出しただけ。「開かれた司法」を根付かせるためには、法曹関係者の積極的な情報発信は欠かせない。刑事裁判の新たな一歩を、市民に広く理解してもらうため、裁判所も意識改革が必要ではないだろうか。

<メモ>
 県内初の裁判員裁判 対象は宇佐市安心院町の殺人事件。13日に選任手続きを実施。14~16日に公判。知人男性を刺殺したとして、殺人などの罪に問われた同町下毛、無職今戸勝利被告(45)に対し、検察側が懲役16年を求刑、弁護側が懲役10年を主張。宮本孝文裁判長は今戸被告に懲役14年を言い渡した。

県内過去のニュース

2月17日

2月16日

2月15日

2月14日

2月13日

2月12日

2月11日

2月10日

2月09日

2月08日

2月07日

2月06日

2月05日

2月04日

2月03日

2月02日

2月01日

1月31日

1月30日

1月29日

1月28日

1月27日

1月26日

1月25日

1月24日

1月23日

1月22日

1月21日

1月20日

1月19日

1月18日

[PR]FX

※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。
Copyright (c) 2008 OITA GODO SHIMBUNSHA