
ハンターの冬季単独登頂を目指す栗秋正寿さん。写真は、2006年に訪れたハンターのベースキャンプで頭上にオーロラが見えたときのもの。背景はフォレイカー
北米のアラスカ山脈の最高峰マッキンリー(6194メートル)とフォレイカー(5304メートル)に冬季単独登頂した日田市出身の登山家・栗秋正寿さん(37)=福岡市在住=が、今冬、同じ山域のハンター(4442メートル)の単独登頂を目指している。冬季は天候が厳しく、今回が5回目の挑戦。「三大高峰への冬季単独登頂は誰も果たしていない。チャンスはきっと訪れる」と闘志を燃やしている。
栗秋さんは1998年にマッキンリー、2007年にフォレイカーに単独で初登頂。ハンター登頂に成功すれば「世界初」という。計画では12月に日本を出発。1月1日からベースキャンプ(BC)に入り、順調ならば2月中に登頂する。
現地は緯度が高く、冬季の日照時間は4時間半程度。稜線(りょうせん)の気温は氷点下50度まで下がり、風速50メートルの猛烈な風が数日間も吹き続ける。今年は1月26日にBCに入ったが、悪天候で1次キャンプ(2020メートル)に15日間も閉じ込められ、3月15日に撤退した。
アラスカ先住民は、マッキンリーを「デナリ」(高いもの)、フォレイカーを「スルタナ」(妻)、そしてハンターを「ベッグヤ」(子ども)と呼び、家族のように見ている。
栗秋さんは「子どもと呼ばれるハンターだが、険しく、雪崩が多い。加えて、岩への雪や氷の付き方で登頂が大きく左右され、手ごわい」と話す。「登頂の鍵は天候だが、長い登山期間に疲れず、平常心で確かな判断ができるかが重要。体力のピークは過ぎたが技術や経験で十分補える」と自信を持っている。
栗秋さんは、この10年近くは、4日に1日はアラスカに滞在している計算になるという。
「三つの山を眺めると、先住民が畏敬(いけい)の念を持って見上げていたことがよく分かる。この山々と運命的な出合いをした。魅力をもっと知りたい」と厳しい登山に挑む理由を説明。「アラスカには家族のような友人もいて、もう一つの日常の場所」と親しみを持っている。
<栗秋さんの経歴>1972年生まれ。日田市出身。同市三芳小学校、東部中学校に通った。両親の転勤で引っ越した福岡市の修猷館高校山岳部で山歩きを始めた。九州工業大学の山岳部員だった95年に初めてマッキンリーに登頂。冬季単独登山を続け、アラスカは今冬で15回目。リヤカーを引いて単独の徒歩で北極海まで1400キロのアラスカ縦断も果たしている。
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