大分地裁で開かれている県内初の裁判員裁判、宇佐市安心院町の殺人事件の公判に参加している裁判員は15日午後1時から約4時間、非公開の評議に臨み、16日言い渡し予定の判決について宮本孝文裁判長ら裁判官と話し合った。起訴内容に争いがないため、量刑を中心に話し合ったとみられる。
15日午前の第2回公判で審理が終了し、評議に入った。地裁によると、評議室では裁判官3人が並び、裁判員6人と一緒に、楕円(だえん)形の机を囲んだ。補充裁判員2人は脇にある別のテーブルで評議を傍聴。裁判員にリラックスしてもらおうと、部屋にはソファや茶などが準備された。
事件では知人男性を刺殺したとして、同町下毛、無職今戸勝利被告(45)が殺人などの罪に問われている。審理では「事件前の被害者の行動に落ち度があったか」が争点となった。
検察側は「殺されるほどの落ち度はない。被告の供述、態度は被害者に責任を転嫁し、誇張した表現が含まれている。動機に同情する点はない。犯行は執拗(しつよう)で残酷。遺族は大きな悲しみに打ちひしがれている」として「懲役16年が妥当」と求刑。
一方、弁護側は「被告は被害者から毎日、たかられ、逃げ出せない状況だった。愛情を抱いていた女性を奪われたと思い、これまで被害者から支配され、すべてを奪われた積もり積もった恨みや憤りがあった。被告を追い込んだ被害者の行動も十分考慮してほしい」と主張し「懲役10年が相当」と意見を述べた。
判決では、検察側と弁護側の意見を踏まえ、裁判員がどのような量刑判断をするかが注目される。16日は午前10時から評議を再開し、同日午後2時半に判決が言い渡される予定。
論告によると、今戸被告は5月28日未明、自宅近くの女性宅で、知り合いの枳梖(けんのき)康さん=当時(24)=の首や背中を持参した両刃のナイフで数回、刺して殺害したとされる。
傍聴人の感想
15日の公判を傍聴した人たちは、検察官や弁護人らが、法律の素人である裁判員に、どう訴えかけるのかに注目した。
大分市青葉台の無職、姫野哲治さん(58)は「検察官や弁護人は早口で分かりづらかった。裁判員は慣れていない。ゆっくり説明したほうがいい」と感想。
同市南春日町の主婦(39)は「検察側、弁護側ともに、状況が想像しやすいよう言葉を選んでいた」と評価。「判決には市民感覚が反映される。専門家だけの裁判よりも納得できる内容になりそう」と期待した。
同市顕徳町の団体職員、衛藤憲一さん(35)は、検察官が、身ぶり手ぶりを交えて裁判員に語りかけたことに着目。「文書をただ読み上げるだけよりも、感情を込めて丁寧に説明した方が印象に残る。パフォーマンスが過ぎると問題だが、裁判員にとって印象の強さは判断基準の一つになると思う」と話した。
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