
レースを終えてヨット「酒楽」上で記念撮影する遺族とヨット仲間たち=11日午後、別府市北浜
ヨットでの無寄港世界一周を目指して準備中に病死した由布市庄内町東長宝の会社員、三重野寛治さん(享年53歳)の遺族が、海の仲間たちに囲まれて別府湾で開催された「2009別府湯けむりヨットレース」に参加した。乗ったのは三重野さんの愛艇だった「酒楽」(全長約12メートル)。遺族は「海を愛した故人の気持ちが分かった」と話した。
三重野さんは大分水産高校(現海洋科学高校)を卒業後、家族の反対を押し切って静岡県で遠洋マグロ漁に従事した。「ヨットで世界を巡るための準備」と周囲に話していたという。
20代で電気工事業に転職。13年ほど前、小型ヨットを手に入れると、国東市の「マリンピアむさし」に係留して、セーリングに熱中。四国に出掛けてしけに遭ったこともあった。
世界周航へ一歩を踏み出したのは50歳のころ。仲間に「体力、気力が衰えないうちに無寄港で世界一周をしたい」と思いを打ち明け、外洋に耐えるヨットを購入。2010年の出港を目指し、レーダーや海水から飲み水をつくる装置、気象ファクス受信装置などの設置準備を進めていた。
航海を控え今年5月13日に受けた健康診断で食道にがんが発見され、同月下旬に手術。9月13日に死去した。
レースは37艇が参加して11日にあった。「酒楽」は三重野さんの夢と遺族5人、そして仲間を乗せ、別府湾をゆっくりと帆走。33位(ハンディ修正後)でフィニッシュした。
独身の三重野さんを気遣ってきた姉の阿部千賀子さん(62)=大分市=は「心の優しい弟だった。他界して毎日、涙が止まらなかったが、レースで海の風を浴びて弟の気持ちが伝わってきました」と語った。
仲間たちは「マリーナにいけばいつでも会えるように」と、「酒楽」の手入れをしている。さらに、三重野さんが果たせなかった夢を若者らにつなげる一方、三重野さんをしのぶ記念行事も検討している。
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