
路上生活者の話を聞く垣田裕介准教授=25日夜、大分市
大分市内の路上生活者は56人に上り、約7割は昨秋以降の景気悪化で仕事と住まいを同時に失っていた―。大分大学大学院の垣田裕介准教授(貧困問題)が、大分市の路上生活者の実態に関する調査の結果をまとめた。県内では昨秋から製造業を中心に非正規労働者の「派遣切り」「雇い止め」が相次いだが、失職が引き金となって路上生活に陥ったケースが多数確認された。
調査期間は昨年8月~今年8月。垣田准教授が副代表を務める生活困窮者の支援団体「自立生活サポートセンター・こんぱす」(大分市、国師洋典代表)が、支援活動の際に聞き取りなどをして調べた。
確認できた路上生活者は計56人。このうち24人が生活苦などに伴う借金を抱えていた。また、15人は慢性的な疾患や歩行障害などがあり、治療や介護が必要で就労が困難な状態だった。
住居がないことを理由に雇用保険の失業給付を受けられなかったり、生活保護の申請が認められなかった人もいた。食料品などを万引して逮捕、釈放されたが行き場がなく、路上生活に戻ったケースもあった。
垣田准教授は「住所がなければ、再就職は非常に難しい。路上生活から抜け出すには行政の支援が不可欠だが、社会保障制度が法律通りに運用されていない実態も浮き彫りになった」と指摘する。
厚生労働省が今年1月に行った調査では、大分市内の路上生活者は23人だった。こんぱすの調査で、1月以降に増加している実態が明らかになった。また、収入が途絶えて家賃を滞納し、退去を迫られるなど、近いうちに路上生活となる恐れがある“予備軍”が25人いることも分かった。
56人の路上生活者のうち大半は、こんぱすの支援で生活保護を申請、受給し、住まいを確保したという。
垣田准教授は「行政は路上生活者の早期把握に努め、セーフティーネットを十分に機能させることが重要だ」と強調した。
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