
大分市の介護老人福祉施設「清静園」はインターネットで苦情についての情報を開示している
介護保険制度が施行されて10年目を迎えた。行政が介護サービスの利用先を決める措置制度から、利用者が選ぶ利用契約制度へと変わり、介護保険事業者などは利用者主体のサービス提供を強く求められるようになった。社会福祉法では、事業者は利用者の苦情を処理する相談窓口や体制を整えるよう定められているが、県内の設置率は79・9%で全国平均(83・3%)を下回っている。
県内でいち早く施設内に福祉サービス相談委員会を設置したのが、大分市の介護老人福祉施設「清静園」(大島敏武総括施設長)。毎月1回、外部委員を施設に招いて入居者の声を聞いてもらい、寄せられた苦情は全職員で共有している。また、内容は広報紙やホームページで開示している。
大島総括施設長は「苦情は施設の財産。一つの苦情から、サービス提供の在り方を見直すこともある。職員も苦情を真摯(しんし)に受け止めることで意識が高まり、能力アップにつながる。入居者の声を聞く姿勢はとても大事」と力を込める。
県内には、県全域を対象に福祉サービスの苦情や相談を受け付ける機関として「県福祉サービス運営適正化委員会」が県社会福祉協議会内に設置されている。介護保険がスタートした2000年度に20件だった相談は、03年度にはピークの109件に。08年度は64件が寄せられた。
委員会によると、約8割は利用者や家族からの相談で、内容は▽福祉サービスの使い方▽利用者同士のトラブル▽施設への苦情―などさまざま。多くが匿名で、「利用者は施設に苦情を言うと、嫌われて対応が悪くなるのではないかと不安に思っている。まだ施設と利用者の立場は対等ではないようだ」と分析する。
委員会事務局の加藤寿代主査は「苦情を言いやすい環境づくりは、良い施設運営につながる。今後も啓発に力を入れたい」と話した。
<ポイント>
施設内の苦情解決
福祉サービスを提供する事業者は、利用者からの苦情について適切な解決に努めること―と社会福祉法に定めている。事業者は相談窓口の設置や苦情解決の体制整備を進める必要がある。窓口が未設置でも罰則はない。
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