
山田別荘の奥に位置する蓬莱(ほうらい)の間。建設当時の趣をとどめている
昭和初期の格調高い建築様式を今に伝える「山田別荘」(別府市北浜)の文化財登録を目指して、市内外の有志が活動している。建物を実測し、オーナーの山田英三(1876~1960)の足跡を探るなど精力的に調査。市内の写真家・藤田洋三さん(59)は有志の一人として「子どもの時からあこがれていた建物。今秋にも国に申請したい」と意気込んでいる。
山田別荘は1930年築の木造2階建て。敷地は約2千平方メートル。和風モダンの別荘建築で、桂離宮(京都市)と同じ雁行(がんこう)形の主屋。洋間、浴室などもレトロな雰囲気を残す。北海道で電気事業会社を経営していた英三が保養別荘「静寿堂」として建てた。1951年から旅館になっている。
今春から、英三のひ孫に当たる山田別荘のおかみ・山田るみさん(40)を中心に、北浜育ちの藤田さん、建築家・中村享一さん(58)=福岡市、九州大学大学院教授の建築史家・藤原恵洋(けいよう)さん(54)=同市=が、国登録有形文化財への申請準備を進めている。
既に中村さんが実測調査を完了。藤原さんは専門家としての所見を担当し、藤田さんはラクテンチ設立者でもある英三の「物語」を詳しく調べている。
26日には、山田英三50回忌と銘打った講演会を山田別荘で開き、25人ほどが参加。講師となった藤原さんは「玄関脇に洋間があるのは、昭和初期の『文化住宅』の分類に入る」と解説。「材料を吟味し、端正・簡潔なデザインには、オーナーの人となりが表れている」と述べた。
実測データに基づくコンピューターグラフィックス(CG)を披露した中村さんは「この建物はツーシーターのオープンカーのようだ。遊び心があり、自然を気持ち良く感じられる」と称賛した。
講演に耳を傾けた山田るみさんは「周囲の旅館がホテルになっても、父はこの建物を変えなかった。私も歴史を学び、当時の面影を大切にしながら後世に残していきたい」と話した。
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