
遊歩道沿いで1株だけ採取をまぬがれていたヒゴタイ
くじゅう連山の高原一帯で、県、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧(きぐ)種とされている希少野生植物の「ヒゴタイ」が無許可採取されるケースが相次いでいる。花が切り取られると種子が地面に残らず、やがては自生種が絶滅する恐れもある。地元で保全活動などに取り組む関係者は心無い行為に頭を痛め、「絶対に採取しないでほしい」と呼び掛けている。
ヒゴタイの自生地として知られる、県畜産試験場(竹田市久住町)の管理地内の「彦太郎池」。ほとりの草原では、茎が刃物のような物で切り取られたり、花の部分が無造作に摘み取られたりした株が、あちこちで無残な姿をさらす。
「昔は盆時季になると、池の周りの斜面にヒゴタイが咲き、とてもきれいな景色だった」。環境省自然公園指導員の上好温さん(67)=同町久住=はこう振り返った後、「最近、咲いたヒゴタイが片っ端から花を摘み取られている。マナーの低さは本当に嘆かわしい」とため息をついた。
県によると、ヒゴタイは植林や野焼きの停止などによって生育環境が変化したことや、無許可採取で個体数が激減した。彦太郎池のほとりでは、大半は茎だけしか残っていないのが現状。
ヒゴタイは県希少野生動植物保護条例で無許可採取が禁止されている。昨年6月、県などは、摘み取らないよう求める看板を彦太郎池に設けたが、無許可採取は後を絶たない。民家の庭に咲いていたヒゴタイが、何者かに茎を切り取られる被害もあったという。
上好さんは「植物は毎年種子を残さなければ、やがてはその土地から消えてしまう。貴重な花を後世に残すためにも、採取は絶対にやめてほしい」と訴える。
県景観自然室によると、くじゅう連山一帯では、地元ボランティアが道路脇に育てたヒゴタイが切り取られるケースもあり、「美しい花々を後世に残すため、希少生物を大切にしてほしい」としている。
<ポイント>
ヒゴタイ 日当たりの良い草原に生えるキク科の多年草。直立した1メートルほどの高さの茎の先端に、濃い青色の小さな花がくす玉のような球形の集合体をつくる。県内では火山性高原が主な生育地とされ、花期は8~9月。県は希少野生動植物に指定。レッドデータブックでは、近い将来、絶滅の危険性が高い「絶滅危惧[1]類」に分類している。
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