
私的整理による経営再建を進めている九州乳業の本社工場=26日午後、大分市廻栖野
私的整理による経営再建を進めている九州乳業(九乳)=大分市=は26日、江藤源哉元社長(故人)をはじめ、元取締役や元会計監査人の計12人に対し、約5億3400万円の支払いを求める損害賠償請求訴訟を大分地裁に起こした。過去11年間で粉飾決算による会計操作があったとし、本来なら必要のない法人税を納付して会社に損害を与えたとしている。九乳は本体だけで約145億円の金融債務を抱え、整理回収機構(RCC)に調整を依頼し、取引金融機関に債権の一部放棄を求めている。金融機関の債権放棄に向けた合意を得るためにも経営悪化に至った責任を明確にする必要があると判断した。
原告代理人などによると、対象となった元取締役らは、外部専門家でつくる第三者調査委員会の調査結果に基づいて絞り込んだ。江藤元社長は2007年に死去しているため、相続財産管理人を対象とした。
調査では1998年3月期~08年3月期の間、売り上げや利益の目標数値を達成するため、売掛金を過大に算出したり、架空の在庫を資産として計上するなど粉飾をしていた。取締役らは粉飾に気付く立場にありながら、それを見逃した過失責任があるとしている。
提訴について、江川清一社長は「厳しい決断だが、粛々とやらせていただく。債権の大幅な放棄という形で支援をいただく金融機関の方々にご理解をいただくために、また新しい九乳の体制づくりの上でも、過去を清算しなければならない」と意義を強調。その上で「社員に経緯をきちんと説明し、経営再建に向かって頑張りたい」と述べた。
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筆頭株主の県酪農業協同組合の清末健一組合長は「どうして九乳が抜本的な経営再建が必要な事態になったのか、組合員は疑問に思っている。司法の場で原因を究明してほしい。県内の酪農家にとって九乳が不可欠であり、しっかりとした経営再建を願う」と要望。
片岡登喜男県農林水産部長は「詳細な報告を受けていない」とした上で、「県としては酪農家を守るために九乳の新体制を支える立場。旧経営陣への責任追及の提訴を重く受け止めたい」と話した。
<ポイント>
九州乳業 1954年に国や県、生産者団体の出資で設立。ここ数年の牛乳消費の落ち込みや原材料価格の高騰、2000年に稼働した新工場の建設費負担などにより経営が悪化。今年6月、抜本的な経営再建に向け県に社長の派遣を要請。県OBの江川氏が社長に就いた。
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