大分のニュース

山の危険、肝に銘じて

[2009年07月28日 14:53]

久住山の山頂手前の急登を歩く登山者たち

 北海道・大雪山系トムラウシ山(2141メートル)で7月中旬、多数の死者を出す遭難事故が起きた。くじゅうや祖母・傾といった大分県内の山域も夏山シーズンを迎えており、県内の登山関係者は「楽しく山に接するためにも『登山は常に生死の危険が付きまとう行為』との認識を深めてほしい」と訴えている。

県内のガイド30人
 トムラウシ山の遭難は、旅行会社が企画した縦走ツアーの参加者ら計19人のうち、ガイド1人を含む8人が死亡した。ガイドの判断ミスや短い日程、参加者に中高年が多かったことが大量遭難の原因ではないかと指摘されている。
 県内外で年間50件近くガイドを引き受ける日本山岳ガイド協会の安東桂三さん(53)=大分市=によると、北アルプスなど国内で人気の山々へ向かうツアーにも中高年を中心とする県内の登山愛好者が参加するという。一方、県内のガイドは約30人。日本百名山で知られるくじゅう連山や祖母山で全国の登山客を案内している。
 安東さんは「ガイドの技術や経験は相当に幅がある。旅行会社が安い価格でツアーを企画する場合、ガイドの数や質を落とし、余裕のない日程をつくりやすい」と指摘。装備や携帯電話が充実する中で「登山者にも『登山は危険な行為』という認識が薄れる傾向がある」と危惧(きぐ)している。
計画書の提出重要
 くじゅう連山の法華院温泉山荘(1303メートル)には、けがや急病になった登山者が運ばれてくる。山荘経営者の弘蔵岳久(ひろくらたけひさ)さん(47)は「くじゅうのツアーは、前日がフェリーやバス内で睡眠というケースが多いため疲労が抜けず、登山中に予想以上に疲れが出る場合がある。疲労は不注意につながり事故を生んでいる」と言う。
 県警地域課によると、県内の山岳遭難事故件数は2007年が29件・35人(うち死者1人)、08年が22件・24人(1人)、ことし6月末までは18件・21人(2人)。「中高年の遭難が依然として多い。ハイキング感覚が事故を起こしている」とし、登山計画書の提出を求めている。
 山頂に到達した時の達成感や充実感が登山の魅力。十分な装備と体力、周到な計画といった慎重な姿勢、そして自然に対し謙虚な態度で臨めば、くじゅうや祖母・傾の山々は登山者に優しい顔を見せるだろう。

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