中期事業計画(2006年度―09年度)に基づく県立病院の改革がスタートして3年が経過した。地方公営企業法全部適用に移行し、トップとして改革を主導した斎藤貴生県病院局長に3年間の取り組みなどを聞いた。
―この3年間の取り組みと成果は。
「救急医療の強化、がんを中心にした高度専門医療の強化、急性期医療への転換、病診連携の強化、診療スタッフの充実、教育・研修の充実、経費削減など、中期事業計画に沿い、全職員が一つにまとまって改革に努力した結果、目標より早いペースで医療の質の向上と経営の健全化を達成できた」
―経営はどう改善できたのか。
「3年間で県からの繰入金を18億4500万円削減しながら、12億2700万円の収支改善を図ったことで、累積で30億円の経営改善を達成した。大規模類似50自治体病院(500床以上)の修正医業収支比率のランキングは、05年度の28位、06年度の15位から07年度は10位となり、初めて優良10病院の仲間入りをした」
―医療の質の向上の取り組みは。
「地域がん診療連携拠点病院としてがんセンターの強化に取り組んでおり、がんの相対5年生存率は69・4%と優れた成績を挙げている。外来化学療法にも力を入れており、症例数は年間3千件を超している。九州で3番目に全国がんセンター協議会(全がん協)に加盟し、4月から全がん協のテレビ会議システムに参加した。毎週、先進的な治療法や症例など最新の情報を得られ、がん医療の総合力アップにつながっている」
―救急医療、急性期医療については。
「昨年11月に救命救急センターを開設した。救急車搬送は2479件、救急手術は393人といずれも増えた。急性期医療への転換に伴い、病診連携にも力を入れ、紹介率は50%、逆紹介率は60%を超えた。4月に病診連携のネットワークの中心となる地域医療支援病院に指定され、これによる09年度の増収額は約1億円を見込んでいる」
―医師は不足していないのか。
「定数の範囲内で診療スタッフの充実に努めた。医師は07年度の115人から08年度は133人に、看護師は446人から457人に増やした。定数の関係で7対1の看護体制は導入できないが、それを補うために医療秘書、看護事務助手、看護助手を増やした」
―2年連続して黒字となったが、その要因は。
「繰入金を削減しつつ、08年度は1億6400万円の黒字となった。後期高齢者医療制度の導入に伴う受診控えや、近隣の基幹病院の改装などによって患者数は減少したが、がんを中心にした高度専門医療の強化、救命救急センターの開設、DPC(診断群分類別包括評価)導入に伴う医療の標準化などによって、1人当たりの診療単価(入院)は4万6414円と前年より2千円増えた。特にDPCの導入が効果的で、出来高払いと比較すると9カ月間で2億4千万円の増収になった」
―費用削減にも努めたようだが。
「薬品管理を見直し、薬価差益を向上させた。また、ジェネリック医薬品を本格導入するため徹底的に調査、検討した上で、147品目をジェネリックに切り替えた。年間ベースで1億5千万円の経費削減効果が見込める。外部委託も見直し、医療材料は院外一括供給型に切り替え、在庫の無駄を省くことで、約3600万円削減できた」
―09年度は計画の最終年度に当たる。
「国が進める医療制度改革に対応した病院の基盤整備はこの3年間でおおむね出来上がった。これを軌道に乗せて、さらにレベルアップさせることが大切。今後とも県民が安心できる医療を提供するとともに、経営の健全化を継続して、基本理念にもうたっているように、日本をリードする自治体病院として貢献することを目指したい」
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