
ドクさんのため、より機能的な義足を開発中の幸幹雄さん=大分市萩原の幸義肢サービス
ベトナム戦争で米軍が散布した枯れ葉剤の影響とみられる結合双生児として生まれた「ベトちゃん、ドクちゃん」の弟グエン・ドクさん(28)が来年1月、父親になる。ドクさんが10歳の時に初めて義足を提供して以来、親交を結んでいる大分市萩原の義肢装具士、幸幹雄さん(43)=幸義肢サービス=は、「とてもうれしい」と喜んでいる。
ドクさんの妻テュエンさん(26)は妊娠3カ月。2人はホーチミン市内の別々の病院で働いており、2006年に結婚した。ことし2月、ドクさんが勤務している産科病院の勧めで、2人は不妊治療を受けた。人工授精の経過は順調で、3月中旬に妊娠が確認され、双子だという。ドクさんから「お兄ちゃん」と呼ばれて慕われている幸さん。「2月に本人からメールで、子どもをもうけることにした、と知らされた」と話す。
幸さんは兵庫県のリハビリ病院に勤務していた1991年、ドクさん、ベトさんの分離手術をしたホーチミン市内の病院の依頼で、ドクさんの義足を製作した。2000年、ドクさんは幸さん方に約2週間滞在し、義足を調節する技術を学んだ。
「ドクはわたしの弟。自立して生活を営むためのさまざまな相談に乗ってきた。今は出産後に家計をやりくりできるかが心配」と幸さん。ベトナムでは昼夜に二つの仕事を掛け持ちして生活費を確保する世帯が一般的。「ドクは昼間は病院の正職員としてコンピューターの修理やバイクで患者の送迎をしている。さらに夜間のバイトをするつもりのようだ」という。
幸さんは、2児の父になるドクさんのため、より機能的な義足の開発に取り組んでいる。「困難にめげることなく、07年に亡くなった兄のベトさんの分まで頑張り、幸せになってほしい」と話している。
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