
岩肌の一部を雑木が覆うようになった現代の「古羅漢の景」(3月撮影)
中津市は今月から国指定名勝「耶馬渓」の景観整備に取り掛かる。文化財保護法で自然環境に手を加えることが厳しく規制されており、本格的な景観整備は1923年の指定以来初めて。観光の目玉である天然の奇岩群に生い茂っている雑木を伐採し、観光客を魅了した往年の景観を再生する。
名称「耶馬渓」は中津、宇佐、日田各市と九重、玖珠両町にまたがる。今回整備するのは、観光客に人気の高い「古羅漢の景」(本耶馬渓町跡田、約0・6ヘクタール)と「深耶馬渓および麗(うつくし)谷(だに)の景」(耶馬渓町深耶馬渓)の中の群猿山(約1・7ヘクタール)。
自然環境の変更には文化庁や県知事の許可が必要なため、市は景観や生態系を損なわないよう現地調査しながら伐採計画を作った。6月半ばに許可され、近く作業を始める。「秋の行楽シーズンまでには、観光客に喜ばれる美しい景観を取り戻したい」(市まちづくり推進室)としている。
計画は県北部振興局や市の地域振興担当職員らが毎月1回程度地域振興についてアイデアを出し合う「ちえのわ会議」の中で生まれた。市耶馬渓支所の職員が「美しい岩肌が年々隠れてきたと観光客が残念がっている」と指摘したのがきっかけ。県は自然環境を守る観点から森林環境税を役立てることにし、総事業費約1100万円のうち8割を補助。環境税収から約650万円を充てた。
市はさらに「伊福の景」(耶馬渓町金吉、約1・5ヘクタール)を含む数カ所の整備計画に取り組んでおり、県は支援する方針。
<ポイント>
国指定名勝 文化財保護法で規定された国指定文化財の一つ。文部科学大臣が、国にとって芸術や観賞の価値が高いものを指定する。県内では今年5月「別府の地獄」が86年ぶりに2件目に指定された。
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