
会見の冒頭、謝罪するおおいた森林組合の(右から)近藤和義組合長、吉良敏行参事、永松林三筆頭理事=6日午後3時49分、県庁
おおいた森林組合の元職員が在職中、架空の間伐事業を捏造(ねつぞう)するなどして作業費を不正に受け取っていた問題で、県は6日、組合に補助金を交付した641件のうち、367件で過大(不正)受給が判明したと発表した。すべて元職員が申請事務を担当したもので、不正受給額は約5873万円に上る。一方、補助金申請の検査を担当した県の検査員の現地確認が、ずさんだったことも判明。佐藤信介県農林水産部審議監は「検査の体をなしていなかった」と謝罪した。
不正受給が判明した367件の内訳は、▽森林所有者や作業場所のデータを捏造し、架空の申請書類を作成 31件(約1486万円)▽補助金の算出ベースとなる作業面積を水増し 331件(約4376万円)など―。県は近く、同組合に不正受給分の全額返還を求める。
県森林整備室によると、同組合が補助金の交付を受けるには県中部振興局の検査員による現地確認が必要。不正請求があった2006年2月~08年9月の間、延べ3人の検査員が検査に当たったが、チェックに必要な書類を持たずに現地に行き、申請内容との照合、測量を怠っていた。また、元職員から書類上の場所とは違う場所に案内されていることに気付かず、“現地確認”をしていた。
元職員は、過去に間伐作業を同組合に依頼した山林所有者十数人の名前を無断で申請書類に記載するなどしていたという。久保田修室長は「検査員は元職員を信用し、説明をうのみにしていた。本来、検査で見抜くべき架空請求や作業面積の水増しなどは想定していなかった」と検査態勢の甘さを認めた。「検査員と元職員に癒着は一切ない」としている。
今回の問題を受け、県は複数の検査員で現地確認に当たることなどを盛り込んだ「造林事業検査マニュアル」を作成。今後は本庁職員による抜き打ち検査も実施する方針。さらに、組合に対して業務改善命令(6月30日付)を出し、再発防止策の提出を求めている。
県は6日付で当時の検査員1人と課長級の上司1人を訓告、次長級の上司を厳重注意処分とした。残る元検査員2人のうち1人は退職、1人は死亡している。
「業務分担に問題あった」
組合長らも謝罪会見
おおいた森林組合の近藤和義組合長は6日、県庁で記者会見し「県民や組合員に多大な迷惑を掛け、おわびします」と頭を下げた。
不正請求の背景については「地域別に1人の職員が間伐事業の計画から補助金の申請・精算まで一貫して担当しており、業務分担に問題があった」と説明。再発防止策として、森林所有者の立ち会いによる作業確認―などチェック態勢を強化する考えを示した。
管理監督責任を問い、当分の間、近藤組合長は報酬全額を辞退、吉良敏行参事は給与を10%削減する。
同組合によると、元職員は内部調査に対し「(組合発注の間伐作業に従事していた)由布市内の男性作業員と、知り合いで大分市内の山林所有者の口座に作業費を振り込み、一部を自分に還流させていた」などと話しているという。
これまでに、元職員の家族が同組合に約900万円を弁済した。ただ、吉良参事は「不正受給した補助金は約5800万円。組合が受け取る手数料は適正に処理されており、残り約3300万円のうち元職員が着服した額は現時点では分からない」としている。
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同森林組合は6日夜、由布市庄内町の組合事務所で緊急理事会を開いた。
理事ら約20人が出席。近藤組合長が、事件の経緯や今後の対応策などを説明。理事からは「チェック態勢が甘かったのでは」など厳しい意見が出た。刑事告訴については、告訴状などの準備が整い次第、手続きを進めることを了承した。
<間伐事業の仕組み>
県森林整備室によると、間伐事業では森林組合が負担する作業費の86%が林野庁や県、市町村から補助金が交付される。おおいた森林組合は、森林所有者から間伐作業を請け負い、実際の作業を担当する作業班に発注。終了後、県に補助金交付申請書を提出すると、県中部振興局の検査員が測量計算などで現地を確認し、補助金が組合に支払われる。
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