いよいよJR線高架化に伴う大分市の春日陸橋(長さ277メートル、1972年開通)の撤去工事が、7月21日から始まる。都市部の幹線道路を来年3月までの約8カ月間遮断する、いわばまちづくりの「大手術」。騒音を抑えた新工法を取り入れるが日常生活では“痛み”を伴うことになりそう。来年度は国道10号バイパスの大道陸橋撤去を控え、住民が「今後の暮らしはどう変わるのか」と注視する工事の行方を探った。
目標に届かぬ台数
「通行止めの影響は大きい。短期間で工事を終えられないのか」。市民の素朴な疑問に、県大分駅周辺総合整備事務所の担当者は「爆破作業ができるのであれば早く終わるが…。住宅が立ち並ぶ場所ではどう考えても無理」と話す。
春日陸橋の撤去工事は3~4カ月間。工法は(1)コンクリートの橋脚、橋げたをダイヤモンドを含むワイヤで切断。橋げたは縦長(縦22メートル、横1・2メートル、高さ1メートル)のブロック状に切る(2)300トン級の大型クレーン車で陸橋横の作業スペースに運び下ろす(3)さらに細断して大型トラックで搬出―という手順。
騒音が問題になる都市部で採用されている新工法。削岩機を使う工法に比べて工期は長くなるが騒音と粉じん、振動を大幅に抑えることが可能。撤去後、3~4カ月かけての道路工事と仮設踏切設置で終了する。総工費約5億円。
課題は通行止めに伴う渋滞対策だ。春日陸橋の通過車両は1日約1万2千台。県は迂回(うかい)路整備を進めてきたが、工事中、迂回路を示す表示板を設置し、交差点に交通整理員を配置。通勤者向け「迂回路マップ」も配布する。
加えて時差出勤でいかに交通量を減らすか。来年度の大道陸橋撤去を見据えて市中心部の企業に車2千台分の時差出勤を呼び掛けているが、今のところ46社・1443台程度の協力にとどまる。付近住民は「車がどう迂回するかは実際に通行止めにならないと分からない。大渋滞するのでは」と不安視する。
「お客離れるかも」
陸橋周辺は公立学校や私立保育所が集中している。列車やバスでの通学者が多い大分大学付属小学校(西本一雄校長、716人)。春日陸橋はバス路線でないため通行止めの影響は直接受けない。しかし、工事車両も行き来する通学路の安全対策は不可欠。同校は「夏休み期間中、車の流れを見極めて2学期以降の対策を検討したい」と話す。
商売への影響を懸念する人も。春日陸橋近くのガソリンスタンド店長(42)は「交通の流れが一変し、常連客が離れてしまいかねない。『迂回路を通って来店してください』とお願いするしかない」。陸橋を見つめながらため息をついた。
春日陸橋撤去工事
陸橋はJR日豊線の線路を南北方向にまたいでいる。工事は陸橋の南北それぞれを別の共同企業体が担当し、同時スタートで工期短縮を図る。線路をまたぐ陸橋中央部分の撤去工事はJR九州が担当。工事で使う300トン級大型クレーン車は橋の新設工事などに使う大型重機で、九州に2台しかない。
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