
大分市が防災拠点整備を計画する平和市民公園の多目的広場
大分市が地震災害の復旧・復興拠点として本年度から整備を計画している平和市民公園の多目的広場が、市が策定した洪水ハザードマップで「浸水想定区域」に指定されていることが分かった。市は緊急用の飲料水を確保する耐震型貯水槽や防災倉庫を設置する予定だが、広場は集中豪雨で大分川が決壊した場合、最も深い所で約1メートル冠水する恐れがあるという。専門家は「行政が防災拠点を整備する場合、複合的な災害を想定した対応が必要」と指摘している。
場所の選定について、市公園緑地課は「人口が集中する市中心部に近く、平たんで広い土地という条件を考慮して判断した」と説明。市防災・危機管理室は「大地震と風水害が重なる最悪の事態を考えれば、浸水に対する意識が欠けていた」としているが「場所を見直す予定はない」という。
マップでは、大分川の東に位置する平和市民公園は周囲を浸水想定区域に囲まれている。多目的広場は北側が「50センチ~1メートル未満」、南側が「50センチ未満」の浸水を予想。このため、避難は同公園ではなく、標高の高い明野方面の東南方向に向かうよう示している。
市の整備計画によると、同広場には耐震性貯水槽(貯水量100トン)を埋設し、約1万人の飲料水3日分を確保。毛布やシートを備蓄する防災倉庫を設けるほか、仮設トイレを設置できるよう敷地内に下水道管を引き込む。完成予定は2010年度で、本年度から基本設計の作業に入る。
市は「マップとは矛盾するかもしれないが、東南海・南海地震の発生が懸念される中、市中心部で大勢の市民が避難できる『一次避難地』の整備は喫緊の課題。複数の候補地を比較し、平和市民公園が最適と判断した」としている。
これに対し、大分大学教育福祉科学部の山崎栄一准教授(災害法制)は「市民が避難する経路が確保されているかが非常に重要。別の防災拠点を再検討するか、計画通りの防災拠点で浸水対策を講じるかを考えるべきだ」と話している。
大分市洪水ハザードマップ 2日間の総雨量が530ミリに達する「おおむね100年に1回程度、起こる大雨」(市河川課)で、1級河川の堤防が決壊した事態を想定している。国土交通省が算出した浸水データに基づき、市が昨年7月に作成した。浸水の範囲や深さ、避難所を示している。大分川東側にある平和市民公園の周辺地区では「深さ1~2メートル未満」の浸水が予想される区域が多い。
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