
夫が残した国東半島の紀行文を本にした笹岡よねさん。鬼の面の写真(手前)も出版を計画している=横浜市の自宅
横浜市在住の主婦、笹岡よねさん(74)は、亡き夫・克至(かつし)さんが残した国東半島の紀行文を1冊の本にまとめた。40年近く前、六郷満山の寺々にある鬼の面を撮影するため、夫婦で訪ね歩いた記録だ。夫は3万枚に上る写真をきれいに保存していた。「今では行方知れずとなった貴重な面の写真もあると思う。文化財の記録に役立てば」と、写真集の出版も考えている。
克至さんは長野県出身で、生前は臨床検査技師や鍼灸(しんきゅう)師として働いた。民俗学が趣味で、休みを利用しては全国各地を訪れた。
1970年代前半、国東半島の神秘性に魅せられて何度も夫婦で足を運んだ。特に宗教行事「修正鬼会(しゅじょうおにえ)」に使う鬼の面に興味を持ち、点在する天台宗の寺々を訪ねては、所蔵された鬼の面などを撮影。神奈川県で写真展も開いた。
克至さんは昨年11月、73歳で他界。遺品として残された二つの段ボール箱には、膨大な数のネガやマイクロフィルム、写真のほか、「出版用に」と封筒に入った現金もあった。
よねさんは、病床で「貴重な資料なので後世に残したい」と繰り返していた夫の願いをかなえるため、まず一緒にあった紀行文を本にまとめた。
タイトルは「鬼面を追って」。住職や住民とのやりとりが息遣いを感じるタッチでつづられていて、当時の暮らしぶりや風俗もうかがい知ることができる。
「夫は国東への思い入れが本当に深かった」とよねさん。かつて訪ねた寺の中には、住職が不在となり、所在が不明になった鬼の面もあると聞いており、「遺志を継いで写真集も作り、貴重な文化財を記録できれば」と話している。
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