
中山間地域で放牧されている牛=由布市挾間町
高齢化や担い手不足で耕作放棄地が増える中、県は傾斜がきつく農地面積も十分ではない中山間地域に、牛を放牧することで農地の保全や農村の収入を確保できないか可能性を探っている。農林水産部内にプロジェクトチーム(PT)を設け、導入に動き始めた。
農水省が5年ごとにまとめる「農林業センサス(2005年)」によると、県内の耕作放棄地は8013ヘクタール。1985年に比べ3・4倍に膨らんでいる。
耕作放棄地の拡大防止や集落営農組織の収入確保に向け、4月に関係5部署の11人でPTを発足。既に導入している山口県の状況を調査するとともに、大分県内の放牧に取り組む農事組合法人などを視察。本年度は二つのモデル地区を選び、来年度以降に放牧を本格導入したい考え。
11日に視察を受けた農事組合法人・オペライスみらい(豊後大野市緒方町)の古沢正義組合長は「(放牧は)農地を守るためには有効な選択肢では」と話す。
PTは、放牧導入の利点として(1)集落営農で牛が食べる牧草(飼料作物)を植えると、国の転作交付金(現行は10アール当たり最大約5万円)が受けられる(2)屋内飼育に比べ手間や餌代が掛からず、子牛の出荷代(試算では35万円)が収入源になる―を挙げている。
このほか牛が草をきれいに食べることで、森林化を防いだり、鳥獣害対策への効果も期待される。
一方で放牧をすることに対する集落での合意形成や、分娩(ぶんべん)などの飼育技術の習得、初期投資(1頭当たり約40万円)などが課題となりそう。
PTをまとめる森下幸生農林水産部審議監は「復旧困難な耕作放棄地が増えれば、日本の食料事情が急変した際、生産対応ができない。取り組みが長続きするよう、利益が出る体制の整備も不可欠」と話した。
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