
商品券完売のお知らせを張る市職員=17日、別府市役所
「1人3万円まで」という制限がなくなるや、それまでの販売不振を吹き飛ばすように売れまくった「べっぷプレミアム商品券」。定額給付金を別府市内で使ってもらうための誘い水として、消費拡大と地域経済活性化が期待されているが、「これでは富裕層に対する優遇策に過ぎない」との声も聞こえる。商品券をめぐる“狂騒曲”から見えてきたものは―。
「100万円分ちょうだい」「えっ、もう売り切れたの!?」
17日朝。別府市役所と別府商工会議所の窓口には、残り少なくなった商品券を求め、市民が長蛇の列をつくった。「整理券を配っています」と商議所職員。販売開始の午前10時を前に、事実上、すべての商品券が“完売”していた。
騒動は前日から始まった。商品券を発行する実行委員会はこの日、購入制限を撤廃した。車、大型液晶テレビ、太陽光発電システム、住宅リフォーム…。ここぞとばかりに、大量購入が相次いだ。一日に2000万円前後だったプレミアム商品券の売り上げは、いきなり1億2000万円を突破した。
100万円以上35人
驚異的な売れ行きの影で、買いそびれた市民には不満が渦巻く。ある男性(48)は「わずか2日間で売り切れ。情報を知った一部の人だけのための商品券なのか。不公平だ」。100万円以上の購入者は計35人。多くは10万円以上だった。
開会中の市議会でも、大量購入の問題点が指摘されていた。「多くの人に恩恵を、という大前提が崩れる。金持ちのための施策になりかねない」。「商店主などが個人として購入して商議所内の実行委事務局で換金すれば、労せずに1割もうかる」という懸念もあった。
「3万円」の制限は、当初の販売期間としていた15日まで約2週間続いた。この間の販売額は約4億3000万円。市は「欲しい人には行き渡ったはず」。売れ残りをさばくため販売期間を延長したが、長引けば人件費もかさむ。早期完売を最優先とし、制限撤廃に踏み切ったという。
難しさ浮き彫り
発行形態に対する議論もあった。商品券を使える期間は「短期集中的な消費」を狙い、8月末までの3カ月と短く設定。利用店舗が偏ることを懸念し、商店街などが要望した「大型店での使用制限」も見送るなど、実行委は経済効果を重視する姿勢を貫いている。しかし、公金を投入する以上は「経済性」だけでなく、「公平性」とのバランスが求められる。商品券発行事業の難しさが浮き彫りになった。
立命館アジア太平洋大学国際経営学部の高元昭紘教授(マーケティング論)は公平性への配慮を求めた上で、「そもそも商品券の発行事業は税金のバラマキともいえ、疑問が残る。ディスカウントセールを手助けするような安易な施策ではなく、もっと適切な経済対策を考えるべきではないか」と指摘している。
(別府支社・山本吉純、山田志朗、田尻雅彦)
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