昨年1月の中国製ギョーザの中毒事件以来、消費者の意識が安心・安全へ向き、不況に陥った今も価格では割高な国産食品の人気が高い。国産品を買い集める流通業者に対し、県内でも食品加工業者が農産物の作付け拡大を急いでいる。需要に対応する生産体制が確立できれば、県農業にとってチャンスになりそうだ。
山菜・根菜の加工販売会社のクローバー食品(豊後高田市)が設立した農事組合法人・JAPANクローバーは、加工用のサトイモ栽培を市内の農家に委託契約している。昨年度は7ヘクタールだったが、本年度は12ヘクタールに拡大する予定。同社は「大手流通業者から100ヘクタール分を要求されている」と需要の大きさを説明する。
水煮に使うタケノコも不足。新聞チラシで提供を求め、4月は1000件、約300トンを買い取ったが、まだ十分ではないという。数年前まで中国産食材を使った加工品の割合が高かったが、ギョーザ事件をきっかけに国産が逆転。「商談は生産履歴の検証が可能かが前提になっており、この点で顔の見える県産品は魅力的」と鴛海良一社長。
県産野菜を使ったペーストなどを製造・販売する野菜工房・村ネットワーク(豊後大野市)の小原秀樹代表も「大手コンビニエンスストアなどから問い合わせが相次ぐが、取引の規模が大きすぎて対応できない。国産の取り合いになっている感じだ」と指摘する。
国産食品について、消費者はどう感じているのか。大分市内の主婦(49)は「やりくりは厳しいが、国産しか買わない。産地表示は必ず確認する。小中学生の子どもが3人おり、食の安全・安心には代えられない」と話す。
しかし、一方では不況の影響が深刻化し、割安な輸入産品の需要が再び増えるとの見方も出ている。力徳昌史・県おおいたブランド推進課長は「県産品(国産品)を買い続けてもらいたい。生産者側も安全・安心を基本に生産を広げ、需要を満たす供給と、スケールメリットによる価格競争力が求められる」と話した。
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