九州乳業(大分市、伊東竹彦社長)が抜本的な経営再建に向け、大分県に社長の派遣を要請したことが1日、関係者への取材で分かった。牛乳消費の落ち込みや原材料価格の高騰、2000年に稼働した新工場の建設費負担などから金融債務は150億円を超えており、事業再生のため整理回収機構(RCC)へ金融債務の調整を要請する。一方で筆頭株主の大分県酪農業協同組合(畑尾常夫組合長)が2億円の増資を決定。県内酪農業振興の中核的な役割を果たす企業の再生に、支援体制が整いつつある。
九乳とメーンバンクの農林中央金庫(東京都)の関係者が1日、広瀬勝貞知事を訪ね、「経営改善に向けた体制の見直しを行うに当たり、人的支援をしてほしい」と要請した。県は支援に前向きな方針を示している。これとは別に主要取引金融機関にも人材の派遣を求めている。
5月27日には県酪農協が臨時総会を開き、九乳の財務内容や経営基盤を盤石にするため増資を決定。地場有力企業にも出資を要請している。
一方、県内では大分バス(大分市)など、数多くの事業再生を手掛けたRCCに、取引金融機関14行に対する金融債務について一部を放棄するよう調整を要請。再建計画を策定し、人員削減や給与の見直しに着手。設備や関連会社を含め合理化を進める。大手乳業メーカーに技術指導を仰ぎ、経営陣も刷新して経営再建を目指す。本社工場の操業は従来通り続け、一般債権者への負担は求めない。主要取引金融機関3行は再生への支援を表明している。
県によると、九乳は07年度、県内で生産される生乳の約90%を処理。学校給食の85%を供給している。
酪農関係者らによると、九乳が事業継続できなくなった場合、県内の酪農家から買い上げる生乳の価格が下落したり、生乳の処理ができなくなる可能性があるという。
九州乳業
1964年に県酪農協や県、各地の生産団体などが出資して設立。酪農家から買い上げた生乳の加工や販売を手掛け、「みどり」ブランドの牛乳・乳製品メーカーとして高い知名度を確立した。売上高は、雪印乳業の食中毒事件を受けての需要増と猛暑の影響が寄与した01年3月期の約241億円がピーク。それ以降は減少傾向が顕著。08年3月期決算は売上高208億5100万円、経常利益6100万円だったが、純損益は不良資産を処理した結果、5億2600万円の赤字。09年3月期も大幅な赤字が避けられない状況にある。
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