県大分家畜保健衛生所(大分市)は、牛の流産や子牛の奇形発生など異常出産に、熱帯性の「サシュペリウイルス(SATV)」が関与した疑いを国内で初めて確認した。第五十回全国家畜保健衛生業績発表会(農林水産省主催)で報告し、試験・調査部門(二十七事例)の首席となる農水大臣賞を受けた。大分県の受賞は二〇〇〇年以来、二度目。
県家畜衛生飼料室によると、発表者は同所病性鑑定部の首藤洋三主任(32)。〇七年六―十一月の間、農家の協力を得た子牛八十一頭の血液からSATVを分離、遺伝子解析作業などでウイルスの存在を特定した。
〇七年九月―〇八年五月の間、原因不明の異常出産になった十二例について、ウイルス抗体が含まれる母牛の初乳を飲んでいない子牛の血液を採取。この血液で分離した抗体を検査したところ、二例はほかのウイルスに感染しておらず、SATV抗体のみ保有していることを確認。この二例の子牛の異常は前脚の湾曲などウイルス起因とされる症例だったので、SATVの関与が明らかになった。
牛の異常出産は、県内では年間六百―七百頭で発生する。同室は「SATVの流行が監視できるようになり、ワクチン開発など異常出産の防止対策につながる」と期待。首藤主任は「受賞は非常に光栄。今後も異常出産の原因究明を続けたい」と話した。
SATV
県家畜衛生飼料室によると、57年にインドで見つかり、国内では99年に岡山県、06年に沖縄県で確認された。蚊などが媒介し、近年は地球温暖化で熱帯地域から北上しているとされる。異常出産の原因となるウイルスはほかにアイノウイルスなどが知られている。
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