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別府地獄を名勝指定 県内86年ぶり2件目

[2009年05月16日 09:12]

沈殿物に含まれる赤鉄鉱により赤く見える「血の池地獄」

 別府市の血の池、海、龍巻、白池の四つの地獄が「別府の地獄」として国の名勝に指定されることになった。文化審議会が十五日、塩谷立文部科学相に指定するよう答申した。県内の国指定名勝は一九二三年指定の「耶馬渓」(中津市など)以来、八十六年ぶり二件目。
 四つの地獄は日本古来の温泉地として名高い別府の中でも、独特の色彩・形態の下にわき出る泉源で、鑑賞上の価値、名所的・学術的価値が高い―として選ばれた。十一項目ある名勝指定基準のうち「火山、温泉」の指定で、温泉としては初めて。
 別府の地獄は約千二百年前、鶴見岳の噴火によってできたと伝えられ、八世紀の「豊後国風土記」にも登場する。十七世紀末に文人・貝原益軒が著した「豊国(ほうこく)紀行」、十八世紀初めに寺島良安が編さんした江戸時代の百科事典「和漢三才図絵(わかんさんさいずえ)」に地獄に関する記述がある。
 歌人・与謝野晶子や俳人・高浜虚子は、それぞれ海地獄や血の池地獄の神秘的な色彩を詠んだ作品を残している。
 <国指定名勝> 国にとって歴史または学術、芸術、鑑賞の面で価値の高い文化財は文化財保護法で記念物とされており、その中から重要なものを文部科学相が史跡、名勝、天然記念物に指定する。名勝は優れた国土美として欠かせないものとされ、公園・庭園、岩石・洞穴、展望地点など11の項目がある。

“復活”へ意気込む観光業界

 赤、コバルトブルー、青白色といった独特の色彩や勢いよく噴き出す間欠泉の美しさが評価され、十五日、国指定名勝となることが決まった「別府の地獄」。血の池、海、龍巻、白池の四地獄をはじめ、多様な泉源を周遊する「地獄めぐり」は、別府観光にとって欠かせない存在。関係者は「さらなる発展につながる」と期待を寄せている。
 別府地獄組合によると、地獄めぐりに訪れる観光客は年間約百万人。今年のゴールデンウイークには約六万七千人が訪れ、県内トップの集客力を見せた。
 観光スポットとして大きく成長したのは、別府観光の礎を築いた油屋熊八翁が一九二八年、地獄を巡る定期観光バスを走らせたことがきっかけ。
 千寿健夫・同組合長は「地獄にはそれぞれ歴史があり、先人が守ってきた。これからも別府観光の一翼を担うべく努力したい」と話す。
 定期観光バス「別府地獄めぐり」を運行する亀の井バス(別府市)は「新婚旅行ブームでにぎわった六〇年代には年間三十万人以上が利用。乗車待ちの行列が四、五百メートルにもなった」と説明。マイカーブームや旅行形態の変化などで年々減少し、昨年度は約二万人まで落ち込んだだけに、「名勝指定でPRしやすくなる。増客に努めたい」と意気込む。
 浜田博市長は「『住んでよし、訪れてよしのONSENツーリズムのまちづくり』を推進する市として、また市民にとっても大変名誉で喜ばしい限り」とコメント。
 同市は、二〇〇六年に国の重要無形民俗文化財となった「別府明礬温泉の湯の花製造技術」と合わせ、「別府の湯けむり」の国の重要文化的景観への選定に向けた相乗効果を生むと期待している。

 文化審議会の主な答申内容は次の通り。かっこ内は所在地。
 【名勝の新指定】ピリカノカ 九度山(クトゥンヌプリ、北海道名寄市)黄金山(ピンネタイオルシペ、石狩市)▽平城宮東院庭園(奈良市)▽別府の地獄(別府市)▽首里城書院・鎖之間庭園(那覇市)
 【史跡の新指定】会津新宮城跡(福島県喜多方市)▽高山社跡(群馬県藤岡市)▽武蔵国府跡(東京都府中市)▽増山城跡(富山県砺波市)▽伊賀国庁跡(三重県伊賀市)▽宇治川太閤堤跡(京都府宇治市)▽二子塚古墳(広島県福山市)▽隈部氏館跡(熊本県山鹿市)▽棚底城跡(熊本県天草市)▽宇江城城跡(沖縄県久米島町)
 【登録記念物の新登録】国立西洋美術館園地(東京都台東区)▽鶴舞公園(名古屋市)
 【天然記念物の指定解除】共和のカシの森(山口県美祢市)



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