
昨年の物々交換市の様子
千四百年以上の伝統を誇り、「闇夜」の物々交換市が広く知られる大分市坂ノ市地区の「万弘寺の市」(十八―二十四日)が寺周辺で開かれる。今年は、物々交換市(二十三日)の開始時間を午前四時に一時間繰り上げる。昨年、開始時間を午前五時にしたが「明るくて雰囲気が出ない」と変更。主催者は「長く栄える市(いち)にするため、試行錯誤している」と理解を求めている。
万弘寺がある坂ノ市地区の中心部は、土地区画整理事業で祭りを運営していた商店街が無くなった。五年ほど前から、自治委員を中心にした「万弘寺の市保存会」が運営している。
近郊でほかのイベントが増え、祭りのにぎわいが減ってきたため「魅力ある祭りに再生しよう」と見直しを始めた。「人が集まりやすい時間に」と、初日(十八日)開催だった物々交換市を二〇〇二年から土曜日の開催に変更。昨年は、試験的にそれまでの開始時間(午前三時半)を遅らせた。
万弘寺前の広場にステージを設置。祭り期間中、学校やさまざまなグループが鼓笛隊パレード、ダンス、バンド演奏などを披露する。
保存会の吉田進一(のぶいち)会長(76)は「地元の祭りとして『一人一役…住民総参加』をモットーにしている。伝統を守りながら住民が喜ぶよう知恵を絞っている」という。保存会事務局の佐藤慎治さん(35)は「寄付金が集まりにくく運営費の捻(ねん)出(しゅつ)が難しい。坂ノ市が誇る伝統行事をいつまでも維持していけるよう地域でまとまっていきたい」と話している。
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日本各地の祭りに詳しい別府大学文学部の段上達雄教授(民俗学)の話 祭りは地域をまとめ、元気づける役割がある。子どもが古里を誇りに思うきっかけにもなる。過疎などが原因で日本各地で祭りが減っており、時代によって祭りの在り方が変わることはある。開始時間を変更することも良い。ただ、祭りの本質を見失わないことが必要。その際には、専門家のアドバイスを受けることは有効だ。
<ポイント>
【万弘寺の市】万弘寺は、用明天皇(585―587)の病気平癒の祈願所として創建されたと伝えられる、県内で最も古い寺。五輪観世音菩薩(ぼさつ)の縁日にあたる5月18日から開かれている。農村地区からの山の幸と、海岸地区の海の幸を直接交換する。交換時の駆け引きやだまし合いが見もの。
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