
農業を始めたい障害者を支援している首藤勉さん。高齢で農業ができなくなった地主から農地を借りてパセリやトマト、ピーマンなどの栽培をしている
経済情勢の悪化で部品の組み立てなど製造業の下請け作業が激減する中、障害がある人の仕事として農業が注目されている。高齢で農業ができなくなった人から土地を借り、有志や地元の人たちに指導を受けながら野菜の栽培に励んでいる。この取り組みは、“生きた農地”の維持につながるとあって、地域からも喜ばれている。
大分市の首藤勉さん(61)は同市戸次に土地を借りて、農業を始めたいという障害者を支援している。きっかけは障害がある息子(32)だった。「親がいなくても食べていけるように」と五十六歳で自衛隊を退職し、農業の勉強を始めた。農地はすぐに借りることができた。「周囲は高齢者が多く、農地を管理する助けになると喜ばれた」という。
今では市内から二人の障害者が通っている。ハウス七棟(十アール)と露地七十アールで、パセリやトマト、ピーマンなどを栽培。将来は一人に一棟ずつハウスの管理を任せる考え。「就労できずに困っている障害者は多いが、農業で自立できる可能性がある」と首藤さん。
障害者の活動を支援している大分市のNPO法人ワークショップ大分たちばな(大野謙治理事長)は昨夏、別府市の中山間地、柳地区に耕作放棄地を借りて農園を開いた。荒れ果てた段々畑を少しずつ耕しては、ジャガイモ、コマツナ、赤カブなどを植えた。
柳自治会副会長の大野勉さん(55)を指導員に迎え、地元の長老に野菜作りを学んだ。「高齢者が多く農地は荒れるばかりだったが、人の手が入れば美しい段々畑を維持でき、地元も元気になる」と大野さん。
障害者の多くが通院しており、農作業は時間に縛られずに従事できる利点もある。大野理事長は「収穫の喜び、自然との触れ合いで心も癒やされる」と話す。
県農山漁村・担い手支援課の山口弘子参事は「異業種からの農業参入が、担い手の育成につながることを期待したい」と話した。
県内の農業就業人口 九州農政局大分農政事務所によると、1995年は7万2411人だったが、2005年には5万4676人まで減少。65歳以上が64・4%を占め、高齢化が進んでいる。耕作放棄地は95年からの10年間で約1・5倍に拡大した。
[PR]セントラル短資FX
※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。
![]()