
新日鉄大分製鉄所から出荷のため船積みされるホットコイル
改修中の第一高炉の再稼働時期を延期する新日鉄大分製鉄所(大分市西ノ洲)の決定は、先の日田キヤノンマテリアル(日田市西有田)の着工再延期の発表に続き、国内外の経済情勢の深刻さを浮き彫りにした。減産や工事延期に伴う地元経済への影響は避けられず、関係者から不況の長期化を心配する声が上がっている。
大分製鉄所は主に造船向けの厚板と、自動車や家電などに使うホットコイルを生産している。昨夏は月七十七万トンだった出荷量が、第一高炉を休止した二月以降は三十五―四十万トンと約半分にまで落ち込んだ。
このため、生産にかかわる構内物流、製品輸送へのダメージは大きい。日鉄物流大分の浅野博之社長は「五、六月は社員約三百人を計四日間休ませ、雇用調整助成金を申請する」と説明。一方で「フル生産時には時間を割きにくかった品質管理教育を実施し、回復期に備える」と前向きに受け止める。
大分市内の運送業者は「二、三月は新日鉄関連の仕事が四割程度減った。経済予測は悪い数字ばかりだったので、(火入れ延期は)ある程度覚悟していた」。しかし、「問題は稼働再開の延期が長引かないかどうか。四月に入って自動車関連の輸送に、わずかに明るさも見えるのだが…」と気をもんでいる。
十六日に着工再延期が発表された日田キヤノンマテリアル。工場予定地周辺には、第一期計画の五百人の雇用を見込んで、新築のアパートが登場している。着工時期の見通しが示されず、早くも家賃を値引きする物件も出始めたという。
日田市の不動産業者(70)は「日田市の産業界ではキヤノン誘致が唯一の明るい材料だっただけに、非常に残念。市内には約四百件の空き物件がある。延期が長期化しないことを祈っている」と不安をのぞかせる。
大手メーカーの生産拠点が集積する大分県は、グローバル経済と直結した産業構造ともいえる。それだけに、地元関係者は「各国の経済対策の効果を注視したい」と早期の景気回復に期待を寄せている。
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