群馬県の高齢者施設火災を受け、全国的に有料老人ホームの運営実態の把握が行政の緊急課題となっている。県内では、この二年間に有料老人ホームが四十二施設から百二十八施設に急増。県が三日までに把握した無届けの施設は九施設だが、このほかに民家を改装した小規模施設が多数あるとみられ、県は「すべての把握は難しい」としている。
二〇〇八年度の老人福祉法の改正で、有料老人ホームの要件が変更された。それまでは定員十人以上の施設だったが、改正後は一人でも(1)食事の提供(2)介護(3)洗濯、掃除などの家事(4)健康管理―のいずれか一つでもサービス提供を行う高齢者入居施設は、有料老人ホームとしての届け出が義務付けられた。届け出違反は三十万円以下の罰金。
法改正で、民家を改修した小規模施設で高齢者を受け入れる宅老所も対象になった。ただ、高齢者だけでなく障害のある人も受け入れている施設もあり、県は「把握した施設には届けを出すよう指導に努めているが、老人ホームの枠組みではとらえきれない施設もある」としている。
宅老所は、介護度は低いが家族の支援が受けられなかったり、生活保護受給者ら、受け入れ先がない高齢者のよりどころとして誕生した経緯がある。県に届けている有料老人ホームのうち、三十二施設は定員十人以下の小規模施設。中には利用者の半数が生活保護受給者という施設もある。
県内で宅老所を運営する管理者の一人は「小規模で経営が厳しく、防火設備などを整備する余裕はとてもない。消防法改正で、本年度からスプリンクラー設置など要件が厳しくなった。届け出ると規制に縛られる」と実情を明かす。
大分市緑が丘の宅老所「うさぎとかめ」の浜田典子管理者は「利用者の安全が第一。小規模でも法に従った運営をすることは大事。ただ、行政には施設や設備だけでなく、どこまで利用者に寄り添って対応をしているか、介護の中身も見てほしい」と話した。
〈県内の特別養護老人ホームの待機者〉県によると、県内の特別養護老人ホーム(79施設)の入所定員総数は5025人で、08年6月現在の待機者は4298人。待機者の受け皿となっているのが小規模の有料老人ホーム。
待機者のうち緊急度が高く、1年以内の入所を希望する人と入院中で施設入所を希望する人は計827人。国の調査では平均で年間2割が退所しており、「数字上では1年以内に緊急度の高い人は入所可能になる」としている。
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