
凍結精子を使って生まれた子豚を抱く岡崎哲司県農林水産研究センター研究員
凍結保存した精液を使って、子豚を安定生産できる技術を県などが初めて開発した。凍結精液による人工授精は牛では一般的だが、豚は精子に損傷を与えない凍結法が確立しておらず、実用化していなかった。生産頭数増加、所得向上につながる画期的技術として生産者の期待を集めている。
県農林水産研究センター畜産試験場の岡崎哲司研究員(28)が広島大学大学院と共同開発した。簡便性が特長で、この技術で凍結させた精子を農家が必要時に特殊な融解液で解凍するだけで使用できる。岡崎研究員は「母豚の繁殖成績向上だけでなく、精液確保用に常時飼育する雄豚の頭数を削減でき、コスト低減のメリットもある」と言う。
凍結精子製造の確立は以前から試みられてきた。しかし、精子の耐凍性には雄ごとの個体差があるため、安定生産できないという課題があった。
岡崎研究員らは、耐凍性を左右しているのは精子を取り巻く精漿(しょう)と仮定し、精漿と精子を一度分離。耐凍性を落としている原因とわかった精漿中の細菌を除去。融解時には、クリーンな精漿を再添加することで課題をクリアした。精漿を再添加するのは、受精に必要な精子の活性化を直前まで抑制させるため。
豚の繁殖は二日程度の発情期間中に自然交配させるのが一般的だが、長時間の作業、ケガの危険性などが課題になっている。生の精液での人工授精も普及しているが、発情を確認してから精液を取り寄せるため適期を逃すことや、保管期間が短いことから産子数減少といった欠点があった。
実証試験に協力している足立農場(臼杵市)の足立妙子さん(28)は「人工授精の経験があれば、作業は難しくなく、使いたい時にいつでも使える。精液保管用窒素タンクと融解用水槽への補助があれば、養豚農家での導入が進むのでは」と期待している。
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