教育界に激震が走り、社会を大きく騒がせた県教委汚職事件。二十七日、一連の事件に深くかかわった矢野哲郎被告(53)と、妻のかおる被告(51)に有罪判決が言い渡された。起訴された八人全員が有罪となる中で“組織ぐるみの不正”の全容は明らかにされないまま。昨年六月に事件が表ざたになってから二百八十六日。一連の贈収賄に絡む一審の公判は、この日ですべて終わった。
大分地裁一号法廷。午後三時、矢野被告夫婦が入廷した。哲郎被告は髪がやや乱れて弱々しい表情。紺色の背広は前ボタンを留めないままになっていた。黒いスーツに大きな襟のシャツを着たかおる被告は比較的落ち着いた様子。
裁判長に促され、両被告は証言台の前へ。並んで立ち、有罪の言い渡しを身動き一つせずに聞いた。
被告人席に着席後、裁判長が判決理由を朗読。「不正な口利きが横行しているとのうわさを(両被告は)耳にしていた」と動機を指摘した上で、「だからといって自らも不正に手を染めることが許されるものではない」と厳しく批判した。
うなだれて目を閉じたままの哲郎被告。かおる被告は首筋を伸ばして裁判長を見つめた。
傍聴席には矢野夫婦の親族の姿があった。閉廷後、哲郎被告の父親が二人に近寄り、弁護士に深々と頭を下げた。一連の公判が終わった安堵(あんど)感からか、父親は穏やかな表情も見せた。
「(教員採用試験で大人数が不正に)合格に至った力とはどんなものだったのか、知りたいと思います」―。昨年九月の初公判で哲郎被告が発した異例の“注文”。その言葉は宙に漂ったまま、事件の中心人物が法廷から去った。
「改めて罪の深さ認識」
判決言い渡し後、矢野哲郎、かおる両被告は弁護人を通して次の通りコメントを出した(原文のまま)。
本日、大分地方裁判所より執行猶予付の有罪判決を受けました。
今回の一連の教職員汚職事件の発端となったのが我々の贈賄行為であったことに思いを至すとき、改めて罪の深さを認識いたしました。
教職員の方々をはじめとする関係各位に多大なご迷惑をお掛けしたこと、大分県の教育行政に大きな汚点を残したことは痛恨の極みであり、言葉では言い尽くせません。
今後は、家族で寄り添いながら、ひっそりと暮らしていきたいと考えています。
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