
孫の晴れ姿を喜ぶ亡くなった加藤久代さん(中央)と新婦で孫の綾子さん(右)、新郎の藤本貴輝さん=佐伯中央病院
「嫁ぐ孫の晴れ姿を見たい」―。ことし1月に亡くなった佐伯市弥生の加藤久代さん=享年79歳。がんで余命わずかな願いを、家族と病院が協力して病棟で開いた披露会でかなえた。「春に誕生するひ孫も見たい」。新たな生きがいも芽生えた加藤さんは最期まで前向きに闘病を続けた。
昨年十二月、加藤さんは肺がんを患い、佐伯中央病院(同市)に入院。末期がん患者に残る人生を有意義に過ごしてもらう「緩和ケア」に取り組んでいた。
入院直後から加藤さんは、孫が一月七日に結婚することを看護師に明かし、嫁いでいく喜びや寂しさなど複雑な心境を漏らしていた。心の内を察した病院と家族は話し合いを重ねて披露会を実現させた。
結婚式当日、新郎の藤本貴輝さん(29)とともに孫で新婦の綾子さん(22)が白無垢(むく)姿のまま、式終了後に病院へ。加藤さんは優れない体調をおして、着物に着替え二人を迎えた。
加藤さんは綾子さんにブーケを手渡して祝福。綾子さんが「ありがとう。ずっとおばあちゃんの孫なのでこれからもよろしく」と伝えると、加藤さんは目に涙を浮かべて喜んだ。
綾子さんの妊娠を知った加藤さんは「ひ孫を抱けるといいな」と、ペットボトルをダンベル代わりにした筋力トレーニングに励む元気を見せていたが、一月下旬に容体が悪化。同月二十七日に亡くなった。
同病院地域医療介護連携室の脇坂健史室長は「加藤さんの生きる支えになったと思う。家族にとって心に刻まれる思い出になったのでは」と話した。
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