
「”文学のまち”として佐伯の名が広まるとうれしい」と話す古川敬さん
佐伯市鶴岡の不動産業古川敬さん(57)が、近代文学を代表する俳人種田山頭火(一八八二―一九四〇)が佐伯出身の女性に恋心を抱いていたという謎をひもといた「山頭火の恋」(二〇六ページ、現代書館、千五百円)を出版した。初版三千部。全国の書店で販売している。
「『女嫌いで、女よりも酒を愛した』といわれる山頭火だが、心の奥には純粋な愛を秘めていたという誰も知らなかった心の軌跡を描いた」とPRしている。
山頭火が恋したとされる女性は、工藤千代さん(一九〇二―一九二五)。山頭火は以前から付き合いのあった工藤さんの兄を通じて知り合ったという。工藤さんは結核を患い二十三歳で亡くなった。
古川さんは熊本県内の文学館が収蔵する山頭火直筆のはがきと、佐伯図書館に残る当時の新聞に掲載された工藤さんの兄の寄稿文を調査。当時を知る関係者に取材を重ねて本にまとめた。
「当時の資料から、工藤さんの死を知った山頭火が、慌てて佐伯へ弔問に訪れたことが読み取れる。特別な存在だったからでは」と持論を展開している。
古川さんは趣味の俳句がきっかけで、約十年前から山頭火の研究を始めた。山頭火は周囲に自分のことを語ったことが少なく、日記を焼き捨てているため、半生は謎に包まれているという。
古川さんは「国木田独歩に加え、山頭火も佐伯と縁があることが分かった。“文学のまち”として、佐伯市の名が広まってくれるとうれしい」と話した。
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