
疑似餌をこしらえる紀野弘八さん
「漁師は漁場を大事にせんといけん」。紀野弘八さん(78)=大分市白木=は疑似餌をこしらえながら話した。
佐賀関の漁師たちは一本釣りに、ゴカイか疑似餌を使う。まき餌で漁場の環境にダメージを与えたり魚の質を落とさないための配慮だ。
少しでも魚の食いがよくなるよう、疑似餌には漁師の経験と試行錯誤が凝縮されている。
紀野さんはサバやハゲの皮を使う。サバの皮はそのまま、ハゲの皮はタマネギの皮を使って茶色く染めて乾燥。小さく切って鳥の羽根に白い木綿糸で結び付ける。一本の道糸に、装飾品のようにきらきらと光る八十個の疑似餌が並ぶ。
速吸の瀬戸の起伏に富んだ海底の地形や魚群の位置によって、一本釣りは四種類に分かれる。純粋な一本釣りとされるのが糸を真下に垂らす「手釣り」。あと三つは「漕(こ)ぎ」「たる流し」「さお釣り」。それぞれ漁師によって道具や釣り方は微妙に異なる。
紀野さんは船を移動させながら釣る「漕ぎ」が専門。「手釣りの漁師を避けて船を移動させる。それが漁師仲間のおきて。もう一つ、小さい魚が釣れたら、すぐに逃がすのもね」とにっこり。
釣り上げた関あじ・関さばは大切に船の「いけま」(いけす)に入れ、帰港。港では、魚体に指一本触れることなく、見ただけで魚の重さを決める「面(つら)買い」で取引する。
全国ブランドになった関あじ・関さば。商品の鮮度だけでなく、漁法の継承、資源保護にもこだわっている。
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